症例:PC作業で生じるテニス肘。

目次

テニス肘の症状・経緯・原因について。

左のテニス肘を訴える50代の男性が当院の「テニス肘」の記事を読み、埼玉県から当院へ来院。

テニス肘の症状

腕を垂らし、何もしない状態でも肘と周囲の筋肉が鈍く痛む。特に拳を強く握った状態で左肘を曲げると痛みが強くなる。図1

図1

朝方強く痛み、昼頃から鈍痛に変わり、仕事が終わる夕方から夜にかけてまた痛みが増す。

テニス肘の経緯:

昨年の秋から左肘に筋肉痛のような痛みが生じ、そのまま湿布や塗り薬を塗って対処していたが、今年の2月頃から肘関節が痛みだす。

痛む部分は肘鉄と言われる肘頭の部分を中心に、肘を包むように周りの筋肉が痛む。

職業はSE(システムエンジニア)。多いときはPCを12時間以上使用する。
利き手は右手だが、カバンや荷物を左手で持つことが多い。
受診した整形外科ではテニス肘と診断されたが、テニスもゴルフの経験もない。

関連する持病や病歴:

5年前と3年前に右肩と左肩に50肩を発症する。いずれも自然治癒。
週に一回の頻度で頭痛になり、痛みは後頭部と眼窩部に痛みが出る。

テニス肘の検査:

患部に腫れや熱感はない。自分で肘を曲げ伸ばしすると曲げたときに痛みを訴えるが、他人に肘を曲げ伸ばしされても(他動運動)殆ど痛みはない。

手のひらを下に向けた状態(回内)で物を掴んで持つと肘の外側に痛みが生じる。逆に手のひらを上に向けた状態(回外)でものを掴んで持ち上げても痛みはない。

図2のように、拳を握り反らした手首に上から曲げる方向に力を加えると肘の外側に痛みが生じる。

図2※協同医学出版社「新・徒手筋力検査法原著第7版」より抜粋。

他人の力で肘を強く曲げると肘の外側に鈍痛が生じ、自分の力で肘を強く曲げると、痛みが増しさらに肘の外側だけでなく肘頭付近も痛みが出る。

姿勢の観察:

姿勢は左重心のために左に傾いている。骨盤ライン、肩甲骨の下縁のライン、肩のラインが左側が低く右側が高い。その体の傾きを頭頸部で補うように頭を右に傾けて頭位を垂直に保っている。(図4)
肩甲骨と背骨の間隔を見ると左の肩甲骨と背骨との間隔が広く、左の肩甲骨は下にかつ外側にズレている。

図4

触診及び筋力や動作のチェック。

左肘の関節、腕橈関節(図5)を触診すると左の上腕骨と橈骨の間の隙間が右よりも広い。


図5

手首を回内回外させながら橈尺関節の動きを触知すると、右よりも左のほうが動きの軌道が大きい。
これらは左の橈骨が関節する上腕骨と尺骨からズレていることが分かる。

その他、左の肩甲骨を背骨側に引き寄せて安定させる僧帽筋中部や肩甲骨を固定する前鋸筋の筋力を調べると、右よりも弱く、筋収縮のタイミングも遅い。
左の肩甲骨を支える筋肉が弱くなり肩甲骨の位置が不安定であることが分かる。

テニス肘の原因:

この方の左肘の痛みは症状こそテニス肘に似ていますが、肘を酷使することで生じる一般的な「テニス肘」とは違います。
PCの入力作業のような、長時間同じ姿勢を維持し、同じ動作を繰り返すことが原因で生じる「テニス肘」です。

PC作業などで生じる「テニス肘」は、姿勢や動作によって肘関節の骨「橈骨」と肩関節の骨「肩甲骨」がズレることが原因で生じます。

原因の詳しい説明。

①橈骨のズレ

肘関節の中で橈骨と関節する腕橈関節と橈尺関節は、腕尺関節のように骨同士がしっかり連結した関節ではなく、骨同士が軽く接し、あとはバンド状の靭帯で括られているだけの非常にゆるい関節構造をしています。

このような関節構造なので別に酷使などしなくても橈骨が引っ張られたり、回内の姿勢を長時間維持したり、回内の状態で手首を上下させる動作を繰り返すだけで簡単にズレてしまいます。つまりPCの入力動作で橈骨は簡単にズレます。

PC作業を長期間やっていると橈骨が関節する上腕骨と尺骨から離れる方向にズレます。骨同士の間隔が開くと、肘の曲げ伸ばしや回内回外の際に橈骨の軌道が大きくなり、橈骨が橈骨周囲の筋肉や靭帯といった軟部組織と擦れて、それらを傷つけま
そして時間とともに小さな損傷が蓄積され、肘の外側つまり橈骨の周囲に痛みを発します。

②肩甲骨のズレ

肩甲骨は背骨と肋骨からなる胸郭と関節し、肩関節の土台として機能しているため、肩関節の動きや肩周りの筋肉の筋力に影響します。特に肩周りの筋肉への影響は大きく、肩甲骨がズレて肩周りの筋力が低下すると、肘や手首の関節や筋肉への負担が増えます。

負担が増加することによって橈骨がズレて橈骨周囲の筋肉や靭帯を傷つけて、肘の外側に痛みが生じます。

このように左の橈骨と肩甲骨がズレることが原因で、ズレた橈骨が周辺の筋肉や靭帯が傷つけ、、テニス肘のように肘の外側に痛みが生じます。

PC作業で生じるテニス肘に関する詳しい情報はこちらから→テニス肘の原因:ズレやすい肘関節。

テニス肘改善までの施術内容。

左の「テニス肘」の直接の原因「ズレた橈骨」を正しい位置に戻し、肘の関節を安定させます。

同時に下方かつ外方にズレた左の肩甲骨を安定させるために正しい位置に戻します。そのために肩甲骨のズレを引き起こす背骨や肋骨のズレや歪みを取ります。

背骨や肋骨は肩甲骨の土台となるので、この方のように背骨が猫背気味で左凸の側弯といった歪みやズレがあると、肩甲骨を背骨側に引き寄せている僧帽筋の中部繊維や肩甲骨を固定する前鋸筋などの筋力が弱くなるため、肩甲骨が下方にかつ外方にズレます。
そのため、ズレた背骨と肋骨を正しい位置に矯正し、さらに全身の歪みに影響する骨盤の歪みを矯正した。

その他に自分でズレた橈骨を元の位置に戻せるように、自分で橈骨のズレを戻すための体操を指導した。

動画:PC作業で生じるテニス肘の対処法

「テニス肘」の経過。

1回目:左肘の鈍痛は大部分緩和し、動かすと多少痛むが以前ほど鋭い痛みはない。
2回目:朝方痛むが、午後になるとそれほど痛まない。カバンを掴んで持ったりするときに痛むが、痛んでも教わった体操をやると楽になる。
3回目:忙しい日が続き、PCに向かっている時間が長くなると痛むが、鋭い痛みはない。
4回目:荷物を左腕で持っても痛まなくなった。仕事中もほとんど痛まないレベルにまでなった。

週1か2週に1回の施術。計4回でほぼ改善。現在は、左肘以外の右の股関節痛や腰痛などのメンテナンスとして通院中。

この方のようなPC作業で生じるテニス肘は肘の酷使によって筋肉が傷ついているのではなく、ズレた橈骨が周囲の筋肉などを傷つけているので、筋肉をいくら処置してもなかなか良くなりません。
まず直接の原因であるズレた橈骨を正しい位置に戻し、さらに体の土台となる背骨や骨盤に生じた歪みも正しい位置に戻さないと、根本的な解決と再発の防止にはなりません。

「PC作業で生じるテニス肘」のように酷使した覚えもないのに肘の痛みでお悩みの方、病院で検査しても異常がないにもかかわらず肘が痛む方は、一度当院にご相談ください。

一緒に解決を目指しましょう!

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