猫背を防ぐ正しい座り方。

目次

背筋は無理に伸ばさない。

30代男性の患者さんから猫背予防に関する質問。

首を回したり反らしたりすると動きが悪い上に痛みます。

猫背が原因だと思い背筋を反らして座ってますがあまり変わりません。

どうしたらいいか教えてください。

という内容でした。

それに対する回答は

「背筋を無理に反らして座るのは猫背予防に逆効果。」

正しい姿勢で重要なことは背中を反らして背骨が真っ直ぐになることではなく、骨や筋肉への負担が少ないことです。

無理に反らすと局所的に筋肉や骨に対する負担が増え背中の張りや首の痛みの原因にもなります。

猫背になる座り方。

そもそも背中を反らしても疲れるだけで長続きしません。

背中が疲れてくると、だいたい肘や前腕を突いて体を支えながら、猫背にならないように背中を反らして座るという意味不明な座り方をします。

こんな座り方をしていると背中の疲れからは解放されるでしょうが、腰から背中の真ん中付近は反り返り、背中の上部から首の付け根付近は曲がるので、傴僂(せむし)のような猫背になります。

前腕や肘をついたときは下図の「広背筋」(図1)が緊張して体を支えます。

図1

広背筋は図1のように背中から上腕の内側に向かって、胸郭を横切るように走行しています。

肘をついた場合、背中から腕に向かって広背筋が収縮するので、広背筋が付着する腰や背中の中間部は反らされ、背中の上部や首の付け根は曲がる傴僂のような猫背になります。

この姿勢で背中を反らしていると首や頭が前に突き出るため猫背がより増強されます。

逆に肘をつかずに頑張って背中を反らして背筋を無理に伸ばしていると、背骨の自然な弯曲(後弯)がなくなり、背骨が平坦になります。

平坦な背骨は決して「いい姿勢」ではありません。

ただ背筋が伸びているように見えているだけで筋肉への負担は猫背よりも大きくなります。

背骨には力を逃すために曲がりすぎず、かつ反りすぎない「適度な弯曲」が必要です。

胸椎の後弯が強すぎれば猫背になり、肩こりや首の痛みの原因になります。

逆に背骨の弯曲がなくなり平坦になると、頭の重さが首の付け根や背中の上部に集中し、肩こりや首の張りや痛み、ストレートネックなどの原因になります。

今回質問された患者さんの姿勢は腰から背中の中間まで背骨がほぼ平坦で、背中の上部や首の付け根が曲がった傴僂のような猫背で、頭を前に突き出していました。

これは肘をついて背中を反らしている人によくみられる典型的な姿勢です。

これでは首を曲げたり反らそうとしても、背中の上部と首の付け根が屈曲位のままロックしているので動きません。

猫背予防のアドバイス。

①座る時は骨盤を立て、坐骨の上に背骨を乗せ、背骨の上に頭蓋をのせるように座る。

つまり骨で体を支えらように意識して座り、筋肉での支持を最小限に抑えることです。

無理に背中を反らすと結果的に背骨を筋肉で支えることになるので、筋肉の張りやコリの原因になります。

また座る時に肘や前腕を突いても構いませんが、肘や前腕に体重をかけないように座りましょう。

②背もたれにはなるべく寄りかからず、疲れた時だけ寄りかかるようにしましょう。

③これが最も重要なことですが、正しい姿勢の最大の利点は負担が少ないことです。

人間の体は同じ姿勢を長時間維持するように設計されていません。そもそも正しい姿勢を長時間維持することなど無理ゲーです。

仕事中は1時間おきに体を動かし、骨や関節にかかった重力をリセットさせましょう。

以上の3点が猫背を防ぐ正しい座り方です。

正しい姿勢の基本は体の負担が少なく、自然と背筋が伸びている状態のことをいいます。

背筋を伸ばした姿勢は続かない上に害ばかりなのでやめましょう。

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