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足底筋膜炎やシンスプリントは、現代人にとって一般的な足部の問題です。これらの病状は、扁平足や回内足のような足部の形状異常が原因となることが多いです。特に、足の中足部(足根骨と中足骨の間の関節)の剛性と柔軟性のバランスが崩れることで引き起こされます。興味深いことに、これらの特徴は、約197.7万年から198万年前に生息していたとされる「アウストラロピテクス・セディバ」という古代のヒト科生物の中足部の特性と共通点を持ちます。
セディバの中足部は、我々現代人とは異なり、その構造が柔軟性に優れていました。これはその特異な歩行様式によるものです。彼らは足首の内旋と体重の内側への移動によって、歩行時の最初の接地を足の外側部分で行っていました。この歩行方式は、足底筋膜炎やシンスプリントのリスクを高めますが、セディバは可動性に優れた中足部を使うことでこれに対抗し、柔軟性を生かした効率的な歩行を可能にしていました。この独特の歩行様式と中足部の柔軟性は、セディバがかつて樹上生活をしていたことに由来します。樹上で生活する動物にとって、足が地面に固定されるよりも、枝を掴んだり、バランスを取るために足を柔軟に動かす能力が重要でした。そのため、セディバは硬い地面での歩行よりも、樹上での活動に適した足の形状を維持していました。
このような適応の結果、セディバの骨盤と下肢の構造は特異な形状に進化しました。直立二足歩行を行うために、骨盤は広く、下肢は直立し、膝と足首は体重を支えるように変化しました。これらの構造的な変化は、セディバが定期的に直立歩行を行っていたことを示しています。一方、現代人の扁平足や回内足は、一部は遺伝的な要因によるものですが、大部分は生活環境と生活習慣による適応の結果と考えられています。現代人は大半の時間を固い平らな地面で過ごし、靴を履いて歩行します。これは、足のアーチを維持し、剛性を保つような適応を促します。しかし、不適切な靴の使用や、体重の不適切な分散、長時間にわたる立ち仕事など、現代の生活環境は足部の構造と機能に負荷をかけ、扁平足や回内足を引き起こす可能性があります。
その一方で、セディバと同様に中足部の柔軟性を保つ人々もいます。遺伝的な要素や、裸足で過ごす時間が長いといった生活習慣が、足部の形状や機能に影響を及ぼす可能性があります。また、スポーツやダンスなどの足部の柔軟性が求められる特定の活動により生じる場合もあります。足部の構造と機能は、生物の生態と生活環境に大きく影響されます。アウストラロピテクス・セディバの中足部の特性と現代人の足の問題を比較することで、足部の健康に対する理解が深まります。適切な靴の選択や、適度な運動、正しい歩行方法などを通じて、足部の健康を保つことが重要です。
また骨盤や腰椎や股関節などの下肢関節の問題に問題が生じると、歩行時に生じる体の揺れや、膝や足首に加わる負担が上手く逃さずに、足底筋膜炎やシンスプリントのリスクが増しますので、腰を反らしづらい方や股関節が硬い方は合わせてカイロプラクティックの施術を受けることをお勧めします。
参考資料