目次
本の読み方を教える本。
M.J.アードラー、C.V.ドーレン著「本を読む本」は、本の読み方を教えるための本です。
とは言え講談社学術文庫から出ているだけあって速読法のような効率よく本を読み、知識を得るための方法を教える安っぽい「ハウツー本」とはわけが違う。
著者も本文中で以下のように述べている通り
読書は手助けを借りない「発見」と同じで、姿の見えない教師から学ぶことだが、そのやり方を知っていなくてはうまくいかない。
本を教師とし、読書を通して学ぶ方法を読者に教えている本です。
読書は字面を追えばいいわけじゃない。
どんな難しい本でも、精神力と熱意を武器に本に齧りついて頭から終わりまで字面を追っていく。
これでも本は読めるが、本の内容を理解し本から学ぶ読書となると、精神力や興味や理解力といった本人の資質に依存した読書法では限界がある。
よっぽど頭が良く強い意志を持った人にしか出来ない。
私も含めて多くの人は明治時代の知識人のように知識や本に対して熱意も「是が非でも学んでやろう」という強い意志もなく、ただ趣味の延長線上で止む無く本を読んでいる。
そんな私のようなボンクラのために、この本では「読書を通して本から学ぶ技術」という、生涯使える「技術」教えている。
技術とは料理のレシピと同じ。レシピ通りに材料と手順と計量を行えば、才能とは関係なくボンクラでもそれなりのものが作れるようになる。
本が変われば読み方も変わる。
哲学や科学など知識の伝達を目的とした「教養書」と物語や情感を伝える「小説」や「戯曲」とでは伝える内容も、伝えようとする目的も、文章の構造や展開の方法も違うから当然、読み方も違うはずだ。
言われてみれば当たり前のことだが、こんな当たり前のことも知らずに多くの人は眠気と戦いながら本を読んでいる。
「本を読む本」に書かれている規則を段階を踏んで練習すれば、才能がない私のようなボンクラでも読書を通して学ぶ「読書の技法」が身につくだろう。
4段階の読書法。
この本では読書を以下のように4段階に分けている。
- 初級読書
- 点検読書
- 分析読書
- シントピカル読書
その段階ごとに何をどう読むかといった実に細かい決まり事が設定されている。
それらをきっちり守り、徐々にステップアップしていくことで読書の技法が身につく仕組みになっているが、各段階の詳しい説明は本書に譲るとして、ここでは簡単に概要を説明します。
1.初級読書
「初級読書」とは本を読み始めた子供が身につける基本的な読書法。
テキストに書かれた記号である文字を読み取り、語の意味を知り、文の意味を知り、文脈から知らない単語の意味をつかめるようになり、結果的にその文が何を述べているのかを理解する。
これは小学校のうちで身につけ、多くの人は大人になるまで「初級読書」と興味と意志の力を頼りに本を読んでいる。
2.点検読書
「点検読書」とは限られた時間内で本の概要や構造を掴みとり「その本は何について書いた本か?「どのように構成されているか?」かを知るための読書です。
速読的要素が強いのですが、内容をしっかり把握することよりも、本の種類や概要や構造などを系統だって拾い読みする「本の点検」を目的にしています。
テーマに沿って多くの書物を読まなければならない時や読むべき本と読む必要がない本とを選別するときに使う技法。
点検読書で本をざっと拾い読みして読むべき本を選別して、しっかり読むべき本は次の段階「分析読書」で読み込んでいきます。
3.分析読書
初級読書や点検読書は「理解するための読書」といえるが、分析読書は「理解を深めるための読書」といえる。そのためより複雑でかなり知的労力が必要になる。
理解するための読書法と理解を深めるための読書法は大きく違う。
前者は理解に努めてひたすら読むことが求められる、いわば受動的な読書法です。
一方、後者は本に対して読者が系統立てて質問をしながら読むことを求められる、いわば能動的な読書法。
本から得られる知識を自分の血肉にするために、読みながら質問し、文中から答えを得るために徹底的に読み抜く読書法。
本を読みながら質問すべき内容は本書に詳しく書かれているからそちらを参照していただきたい。
「分析読書」は最低高校卒業までに身につけておかないと大学に入ってから相当苦労する。
大学で研究論文を書くには同一テーマに沿った二冊以上の本を相互に関連ずけ、比較しながら読み込まなくてはならない。
このように研究のために「分析読書」で読み込んだ多くの本を相互に関連づけて読むことを第四段階の読書法「シントピカル読書」と言う。
4.シントピカル読書
シントピカル読書とはテーマに沿った二冊以上の本を相互に関連づけ比較しながら読むので「比較読書」とも言える。
このシントピカルとは元々、特定の主題について書かれた本がどの本で論じられているのかを知るための索引「シントピコン索引」から来ている。
読み手がシントピコン索引のように特定のテーマに沿って多くの本を読むことから名付けられた読書法で、研究論文を書くために不可欠な読書法です。
シントピカル読書は単にテーマに沿った本を多く読んで比較するだけではなく、さらに読んだ本を手がかりにそれらの本にははっきり記されていないテーマを見つけ出し、分析して研究することが求められます。
つまりシントピカル読書の目的は本をただ比較するだけでなく、新しい概念や知識を発見することを目的としています。
以上で4段階の読書法は最終的に読書を通して独学で学び、一人で研究できる読書能力を身につけることを目的にしています。
学力の低下は国語力の低下。
この「本読む本」をテキストになぜ学校で教えてくれなかったのかと、悔やまれる。
学生の時に習っていたら、いくらボンクラな私でも少しは利口になっていたかもしれない。
しかし学校では教えていないわけじゃない。
小中高の国語のカリキュラムをよくよく思い出すと、高校までの間に分析読書までの内容を教えていた。
あとで俯瞰して見るとわかるが、当時はまるで気づかない。
また先生も生徒たちに授業の目的を明確に伝えているわけでなく、ただ教科書に沿って授業を進めているので、生徒はテストでいい点を取ることが目的だと思い、本当の目的は理解されない。
テストが終われば抽象的な目的論はすぐに忘れ去られる。
しかし小学生から高校生まで習ったことを見渡すと実は「初級読書」の内容は小学校習い、分析読書は高校の現代文で習っている。
現代文の入試問題で問われる内容は分析読書で読みながら読者が本に問う内容とほぼ同じだ。
その問いを文中から探して答えるのだから高校の現代文とは分析読書のことを言うのだと勝手に判断している。
せっかく大学受験で身につけた分析読書のノウハウも試験が終わればご用済みとばかりに忘れ去られる。
卒論を書く頃には分析読書ができないから当然、研究論文を書くために複数の文献を比較して読むシントピカル読書もできない。
研究資料を読んでも理解することもできないので、読むのが面倒になる。
結果的にコピペ論文が横行する。
最近は学力低下や活字離れが騒がれていますが、これはまさに文章から意味を読み解く能力「国語力」の低下が原因ではないかと思います。
国語は母語で「読み」「考え」「書く」と言う知的活動の根幹を担う教科です。
役に立たない、実利がないと国語を軽視するのではなく、むしろ灘中灘高で教鞭を執っていた伝説の国語の教師「橋本武」先生のように時間をかけてみっちりやった方が学力アップにつながるだろう。
橋本先生の国語の授業は他の学校のように教科書を使わず、「銀の匙」という1冊の本を3年かけて読み込み、みっちり教えると言う大変ユニークな授業をされていました。
橋本武先生著書の「橋本式国語勉強法 (岩波ジュニア新書)」を読むと、先生が教えている内容と「本を読む本」で伝えていることがほとんど同じであることに気づく。
一冊の本を3年かけて読み込むことで鍛えられた国語力こそ、灘校の底力なのだろう。
国語は知的活動の根幹となる教科で、文系理系問わずあらゆる教科の土台となります。
国語が碌にできない状態で、これをこれからは理系だ、英語だと、これらの教科に力を入れて取り組んでも、目先の点数が上がるかもしれないが、教養を育むと言う意味では学力アップには繋がらないだろう。
「本を読む本」を教科書に時間をかけて教え、国語力を鍛えた方が確実に学力を伸ばせるだろう。
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