症例:息を吸うと痛む肋骨の痛み。

肋骨の痛みの経緯。

息を吸うと右の肋骨下部に痛みを訴える20代の女性が来院。

職業は介護職をしており、2週間前に仕事で利用者様を抱えた時に右肋骨に沿って締め付けられるような違和感があり、3日前から痛み出す。

図1

息を吸うと痛むが、息を吐く時はそれほど痛まない。

体を左に倒したり、伸びの動作をしたり、利用者様を抱えて持ち上げたりすると痛む。

昨日、整形外科に行きレントゲンを撮ったが肋骨には異常がないと言われる。

肋間神経痛ではないかと思いネットで調べていたら当院のホームページを見つけ、書いてあることが自分の症状に似ていたので、本日来院した。

肋骨の痛みに関連する症状。

肋骨が痛み出す2週間前、今から1ヶ月ほど前に職場で掃除機をかけようと前屈みになった時にギックリ腰になった。

その日はなんとかやり過ごしたが、帰宅して横になっているうちに痛みが増して動けなくなり、2日間仕事を休んだ。

痛みは左の腰からお尻にかけて痛み。左に体重をかけることができなかった。

2日休むと整骨院で購入したコルセットで腰や骨盤を固定して現場に復帰。

だましだまし仕事をし、1週間ほどしたら殆ど痛みがなくなった。

姿勢や筋骨格の観察

肋骨に異常はないということだが万が一折れている可能性もあるので、肋骨に骨折やヒビなどが無いか徒手で調べたが、異常はなかった。

姿勢は全体的に右に傾き骨盤が反時計回りに捻れている。(図2)

図2

筋肉の張りを調べると、左の腰背部に着く多裂筋と右の外腹斜筋の張りが強い。(図3)

図3

検 査

次に右肋骨がちゃんと動いているのか調べる検査を行った。

息を吸う時は、肋骨が上に持ち上がる「挙上」運動と外側に広がる「拡張運動」が生じるが、痛みを訴える右の肋骨にはあまり動きがなく、拡張運動に至っては殆どない状態だった。

肋骨を動かす肋骨周囲の脊椎や筋肉の動きを触知すると、背中と腰の間(下部胸椎と上部腰椎脊椎)の動きはなく、右側の腹筋(外腹斜筋)(図4)が張っていて、肋骨の動きを邪魔していた。

図4

骨盤に歪みや腰椎にズレなどが無いかを調べるために、仰向けになって膝を伸ばしたままベッドから5㎝ほど足を挙げる検査を行った。

骨盤の歪みや腰椎にズレなどがなければ、骨盤が捻れたり腰が浮いたりせず、足はすんなり挙がります。

しかし、骨盤に歪みがあると足が挙げづらかったり、足を挙げた時に骨盤がどちらかに捻れたり、腰が浮いたり、腹筋が張ったりします。

検査の結果、右足を上げた時に骨盤が時計回りに捻れ、右の腹筋(外腹斜筋)が強く緊張していました。

この検査から左の骨盤の関節(仙腸関節)にズレが生じていることがわかります。

右足を挙げた時は左のお尻の筋肉(中殿筋 )が骨盤を安定させて捻れを防ぎますが、左の仙腸関節がズレると、お尻の筋肉に力が入らず骨盤が時計周りに捻じれます。

このような状態では足を持ち上げる筋肉も力が発揮しづらくなるため、腹筋に余計な力が入り、結果的に腹筋(外腹斜筋)が強く張ります。

この外腹斜筋は息を吐く(呼気)で働く筋肉です。息を吸う(吸気)時は外腹斜筋の緊張に抵抗して肋骨を挙上し、拡張しなくてはなりません。

そんな状態で呼吸を繰り返しているうちに吸気の筋肉の負担が増え、ある限度を超えると痛みを発します。

この肋骨の痛みの直接の原因である外腹斜筋の緊張は、ぎっくり腰がきっかけで生じ、ギックリ腰は左の仙腸関節のズレによる骨盤の歪みが原因です。

つまりこの方の肋骨の痛みは骨盤の歪みによるギックリ腰が原因です。

肋骨の痛みの原因。

ギックリ腰になり、左の腰から臀部にかけて痛み左に体重がかけられなくなりました。

そのため体を右に傾けたまま生活していたら、痛みが消えた後も姿勢は右に傾いたままになり、さらに腰背部の多裂筋や右の外腹斜筋が緊張して腰を固定し、天然のコルセットの役目を果たしていました。

その緊張が結果的に肋骨の挙上と拡張運動を邪魔します。すると息を吸う度に肋骨を動かす筋肉の負担が増えて強く張り、肋骨下部に痛みが生じました。

肋骨の痛みの施術。

当院では以下の3つの内容を中心に施術を行いました。

  1. 吸気がスムーズに行えるように肋骨に動きをつける。
  2. 肋骨の動きを邪魔する多裂筋や外腹斜筋の緊張を緩める。
  3. ギックリ腰の原因である骨盤の歪みを改善する。

初回の施術では、肋骨の動きに影響するズレて動きが悪くなった腰椎や下部胸椎を矯正して動きをつけた。これにより肋骨の挙上がスムーズになった。

次にズレた左の仙腸関節を矯正して骨盤の歪みを取り、骨盤の安定性を高めました。

骨盤の歪みを取ることで右に傾いていた体がまっすぐに近づき、右外腹斜筋の緊張が少し緩み、肋骨の拡張がスムーズになった。

まだ、体を左に倒すと痛むが、吸気時の肋骨の挙上と拡張が楽になり、息を吸った時の痛みは軽減された。

肋骨を痛めた場合は下手にストレッチや体操をやると逆に悪化させることが多いので、余計なことはしないように念を押して、初回の施術は以上で終了。

1週間以内に来院するよう伝えてお帰りいただいた。

2回目は初回から10日後の来院。

思いっきり体を左に倒して右の下部肋骨が引き伸ばされると少し痛むが、初回よりも全体的に楽になったと言っていた。

今回は前回と同様の施術に加え、吸気の状態で硬く張っている横隔膜を緩める手技を行なった。横隔膜が緊張すると体幹の側屈や回旋運動が制限されます。これを解すことで左に倒しやすくなり、右肋骨下部の痛みがほぼ解消された。

以上の手技を行い肋骨の痛みに関する施術は終了。

院長からのコメント。

骨盤には上半身や下半身へ行く様々な筋肉が付着しています。骨盤が歪むと、それらの筋力が弱くなったり反応が鈍くなったりして、腰痛だけでなく膝の痛みや肋骨の痛みなど様々な症状を発症させます。

過去にギックリ腰を患い、その後に原因がよく分からない膝の痛みや股関節痛、または肋骨の痛みでお悩みの方は、骨盤が歪んでいるかも知れないので、骨盤矯正のプロである当院で施術を受けてみて如何でしょうか?

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