暇人読書「ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト」

治療院が暇だと治療院の片付けと読書が捗る。

最近は進化学や古生物学の簡単な本買い込んで読んでいる。

なんでそんなものを読んでいるのかと言うと、複雑な人間の体を理解するには、今の体の構造を追うよりも、単純な構造をした太古の生物から今へと辿ったほうが、遠回りに見えるが理解しやすいからだ。

地理と歴史を知れば国の成り立ちそのものを知ることが出来るように、人体解剖という地理と進化の過程という歴史を知ることで、なぜこのような形をしているのか?を知る手がかりとなり、結果的に症状改善のためのヒントにもなる。

そして暇な今日、読んでいる本がこちら「ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト」。

この本は人の中にある魚の面影と魚の中にある人への始まりを、小難しい古生物学、発生学、分子生物学を噛み砕いて素人でもわかるように解説している。

魚類の鰭と陸生動物の四肢とでは全く構造が違う。

この構造の違いを決定付けているのが魚の鰭と陸生動物の四肢に見られるパターンが魚類には見られない点である。

陸生動物の四肢にはイルカの鰭だろうが翼だろうが手だろうが、1個の上腕骨と2個の前腕骨、そして多数の骨の塊と五本の指と言う「共通のデザイン」がある。この骨の並びは陸生動物の四肢を司る共通のルールである。

一方、魚類の鰭には骨ではなく鰭膜というタンパク質の膜で構成されており、陸生動物のパターンとは全く異なる。

鰭と四肢とは似ても似つかない代物で、四肢が鰭から進化したことを証明するには、魚類と陸生動物との中間種を見つけるしかない。

長い間その化石が見つからずにいたのだが、2004年に、魚類でありながら鰭に肩、肘と原始的な手首を備えている魚類と陸生動物の間をつなぐ中間種「ティクターリク」の化石が発見された。

これで魚類の鰭が進化して四肢になったことが半ば証明されたのだが、今度は鰭の延長線上に四肢があるとするならば、魚類の鰭を作る遺伝子が、手を作る遺伝子と事実上同じであることを証明しなくてはならない。

化石からは遺伝子が取れないので現存している古代魚のサメやエイなどを使って数々の実験を行い、鰭と四肢は同じ種類の遺伝子によって形作られたことが証明された。

つまり、四肢は突然変異した遺伝子によって作られたのではなく、サメにすらある手持ちの遺伝子をやりくりして作られていることが証明された。

この本では、四肢だけでなく歯や耳など人間の体にある魚の面影と魚の中にある人間への未来像を縦横無尽に語り尽くしている。

面白くて仕事そっちのけで、予約を断ってでも読み進めたくなる本です。

その他「人体600万年の歴史 上下巻」も購入し、次に控えている。

とは言え、本を読めば読むほど治療院が暇になるというジンクスがあるからほどほどにしなくては・・・。

[`evernote` not found]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください