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右膝の痛み(図1)を訴える40代の女性が来院。
右膝は常に痛むが腫れや熱感はない。階段や坂の上り下りでも痛むが、特に下りで痛む。
その他、膝を伸ばした(伸展)時に痛む。膝を伸ばすと寝ていても痛むため、仰向けで寝ていると膝が伸びて痛むため、今は横向きで膝を曲げて寝ている。
この方の職業は主婦で自宅は坂と階段を登りきったところにあり、階段や坂を毎日上り下りしている。
2ヶ月前から右膝の外側がジンワリ痛むようになる。
最初は、時々痛む程度だったが1ヶ月前あたりから常時「ジンワリ」痛むようになる。
またその辺りから就寝時に右膝を伸ばすと痛むようになる。
整形外科を受診したが右膝の骨には異常がないと言われ、湿布と痛み止めを処方され、サポーターを買わされた。
その後、他のカイロプラクティック治療院に1ヶ月通うが全く改善なし。
当院のサイトの記事「膝関節を壊す歩き方。」を読んで、自分にも思い当たるところがあり来院。
右膝は20年前にスキーで転倒した時に痛めた。靭帯や半月板には異常がなく、しばらく安静にしていたら改善した。
以降、右膝の痛みはない。
20年前にしばらく動けなくなるほどのギックリ腰を発症。
痛みが出た部位は右のお尻と腰の境目あたりに激痛が走る。(図2)
それから一週間寝込み、整形外科へ1ヶ月間通って改善した。
2年前に右の股関節(鼠径部)に痛みが出るが2−3日で痛みが消える。
昨年、ローラースケートで転倒し右膝をぶつけるが、痣ができただけで痣が消えると痛みはなくなった。
排卵障害でホルモン剤を服用している。
立った状態で膝を曲げ伸ばしさせると、曲げても伸ばしても右膝の外側に痛みを訴える。
仰向けになり、他人に膝を曲げ伸ばしされると、曲げたときはほとんど痛まないが、伸ばしきると右膝の外側に痛みを訴える。
半月板や周囲の靭帯の損傷を診る為の検査を行うが痛みが増すことがないので、半月板や靭帯を痛めている可能性は低い。
姿勢は前傾姿勢でかつ右に傾く格好で、右の骨盤と右の肩のラインが下がっている。図3
そして頭頸部で頭を左に傾かせて正中を保っている。図3
重心は右前方に移動し、右足の土踏まずと親指の付け根付近にタコがある。親指の根元付近に荷重がかかっていることがわかる。
体の捩れは骨盤より下が反時計回りに捩れ、上半身は反対に時計回りに捩れている。
つまり骨盤は右側が前に出て左の骨盤が後ろに引かれる形で捩れている。大腿骨も骨盤と同じく反時計回りに捩れている。
両足とも外反母趾になっていいるが、右足の方が酷い。
右の大腿前面と大腿外側の筋肉が強く張っており、右の膝の皿(膝蓋骨)がこれらの筋肉によって引っ張られ、外側かつ上方へ引っ張られている。
腰回りの筋肉は固くこわばり、柔軟性がない。そして反り腰気味である。
歩行を観察すると右に傾き、右への横揺れが大きい。歩幅は右足の方が広く左足は狭い。
片足立ちになると右片足立ちでフラつき倒れそうになる。
この方の右の膝関節痛は、右に傾いた前傾姿勢が原因です。
このような姿勢によって右股関節や骨盤が反時計回りに捩れ、股関節の動きが制限されます。
そしてこの方は前傾姿勢によって腰部の筋肉が硬く張っていたため腰の動きも制限されています。
股関節や腰の動きには、立位や歩行で生じる体重などの負担や地面から膝や股関節めがけて加わる衝撃を緩衝する働きがあります。
しかし、この方のように股関節や骨盤が捩れたり腰の筋肉が張ると、股関節や腰の動きが制限されます。
すると腰や股関節の動きで力を逃がすことができなくなるため、歩行時に加わる負担や衝撃は膝へと集中します。
この方が酷いギックリ腰を患った20年前はブティックで販売員とし勤めてました。その時は背筋を伸ばして丸一日立ちっぱなし生活でした。
前傾姿勢の方が背筋を伸ばして立つと、腰を「グイッ」と反らして背筋を伸ばすために腰の筋肉が張り反り腰による腰痛になります。おそらくその影響でギックリ腰になったのでしょう。
さらに利き手側に上半身が傾く傾向があるので、姿勢は右側きました。
右に傾いた前傾姿勢で歩くと、骨盤と右の股関節前面の筋肉に負担がかかるため、これらの筋肉に引っ張られる形で骨盤と股関節が反時計回りに捩れ、そして鼠径部付近に痛みが生じます。
股関節の痛みは、さらに前傾を強めることによって解消されますが、その代わりに膝が伸展して逆反り気味になります
膝が反った状態で歩き続けると、膝を曲げることで生じるクッションが効かなくなるために衝撃が膝へ集中して、膝を伸ばすと痛みが生じます。
この方の右膝関節痛は実は20年前のギックリ腰から始まり、姿勢や歩き方が変わることで右の股関節が痛くなり、さらに右股関節痛をかばうために右膝関節痛になりました。
右膝関節痛の発症はここ数ヶ月のことですが、実際の原因は膝関節ではなく20年前以上前に患ったギックリ腰と姿勢が原因なので、数回で結果が出ることはまずありませんし、当然、膝関節だけ処置しても対処療法にすらなりません。
全身の歪みに対する施術と、合わせて姿勢と歩き方の再教育が必要になります。
施術は歩行時に膝へ加わる負担を減らすために骨盤や右の股関節の捩れを矯正し、ズレて動きが悪くなった腰の骨(腰椎)を矯正、それと右大腿前面の筋肉の緊張によってズレた右膝の皿(膝蓋骨)のズレの矯正した。
骨盤や股関節の捩れが改善されることで歩行時に生じる右への横揺れが抑えら、膝への負担が軽減されます。
腰椎を矯正することで運動に応じて腰椎が撓むようになり、歩行時の負担や衝撃を逃がして膝への負担を抑えます。
そして膝蓋骨のズレを矯正し正しい位置に収まることで、膝関節と大腿四頭筋の腱との間で生じる摩擦を防ぎ、右膝の外側に生じる痛みを抑えます。
骨盤や股関節や腰椎と膝蓋骨を正しい位置に矯正しました。そして治療効果を持続させるために膝関節痛に効果がある体操と骨盤の歪みを自力で治す体操を指導した。
膝関節痛の体操はこちら→自分で治す!膝関節痛の対処法。
骨盤の歪みを直す体操。→産後の腰痛に効果がある。「骨盤スクワット」
さらに膝や股関節の場合はギックリ腰と違い施術だけではなかなか改善しないので、施術と同時に前傾姿勢と前傾姿勢による偏った歩き方を正すための再教育を行います。
1回目:
施術後、1時間ほどで右膝の外側に痛みが出たが、寝ている時の痛みはなかった。また足を伸ばした状態で足をついてもそれほど痛みがなかった。
2回目:
常時感じていた「ジンワリした痛み」はないが、歩いたりするとまだ痛む。寝ている時も不意に足を伸ばすと時々痛む。
3回目:
先週から右の股関節が痛むようになった。股関節は階段を登る時に痛む。膝の痛みは前回と同じ状態。
4回目:
坂と階段の下り以外、右膝は痛まなくなった。右股関節の痛みはないが、深く関節を曲げると鼠径部に痛みが出る。
5回目:
膝は深く曲げた時に右膝蓋骨の下面に痛みが出るが、それ以外は痛まない。股関節は深く曲げても痛みがない。
6回目〜9回目:
今まで1週間に1回の週ペースで通っていたが、今回から2週間に1回に変える。今まで通りの施術と指導の他、ストレッチボードで脹脛の筋肉を伸ばすよう指導する。
10回目:
主に正座をすると痛むが、日常生活での痛みはない。この回から施術の間隔を1ヶ月1回にした。
11回目:
1ヶ月空けても症状がぶり返すことがなく、体の傾きもなくない。長時間正座をした時だけ痛む程度まで改善したため、以降はメンテナンス期とした。施術に通った期間は5ヶ月だが、集中的に通ったのは1ヶ月半であり、実質2ヶ月程度。
現在も、3ヶ月か半年に1回、思い出したときにメンテナンスで通っている。
怪我でもない限り膝関節痛は長年の姿勢や歩き方によって生じます。そのため時間がかかり、さらに膝だけでなく様々な関節に影響します。
特に腰や股関節や骨盤に捩れや歪みやズレが生じて動きが悪くなると、膝関節に負担や衝撃が集中するため、膝関節だけ処置しても対処療法にしかなりません。
この方のように、どこに行っても良くならない膝関節痛でお悩みの方は是非一度、当院にご相談ください。
一緒に解決を目指しましょう!
ふじたカイロプラクティックは2016年6月開業の整体院。
院長は臨床経験15年。延5万人以上の実績!
マッサージや整骨院、病院では治りにくい腰痛や坐骨神経痛の他
股関節痛や膝関節痛など、辛い症状でお悩みの方は是非お問い合わせください。
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