目次
患者さん情報：
五十代 男性 会社員
症 状:
左のゴルフ肘
今から3ヶ月ほど前から、左腕の内側（図1）が徐々に痛み出し、先月ぐらいから肘を伸ばすだけで痛くなる。
特に拳を握った状態で手首を曲げ、左肘を伸ばすと、左肘の内側が筋肉痛のように痛み、クラブが振れなくなった。
ゴルフは10年前から始めて、週に1から2回はゴルフ教室に通い、月１の割合でコースに出ていたが、今まで肘がこのように痛くなったことがなかった。
今は肘が痛いのでゴルフ教室にも通ってないし、ゴルフもやっていない。
ちょうど3ヶ月前あたりから練習量が増え、週3回レッスンを受けていた。
時を同じくしてフォームを少し変え、左の手首を曲げて、振り抜くように打つ練習をしていた。
肘が痛くなり出したのも、その後からだった。
この方の左上腕から前腕、そして手首と指の筋肉の緊張度合いを調べると、親指の母指球筋と言われる（短母指屈筋・短母指外転筋・母指対立筋）が強く張り、押すと痛みを訴えます。（図2AB）
親指を押されるまで、筋肉が張っていることに気づかなかったそうです。
筋肉の緊張をそのまま前腕までたどると、前腕前面の親指側にある筋肉（長・短橈側手根屈筋や回外筋）が同じように強く張っていました。（図３）
上腕になると肘を境に緊張している筋肉が前面から後面に変わり、肘を伸ばす上腕三頭筋が付着する肘の少し上あたりの張りが強く、圧痛を訴える。（図４）
これらの筋肉は手首を曲げた状態で強くグリップを握り、そのまま肘を伸ばすと強く張る筋肉です。
このフォームは3ヶ月前から練習していたフォームです。
グリップを強く握り、手首を曲げる事で親指の筋と前腕の親指側の筋肉が張り、肘を伸ばす事で上腕三頭筋が張ります。
このような肢位と筋肉の緊張によって手首と肘の関節を構成する尺骨がズレてゴルフ肘になります。
親指や前腕の筋肉の緊張によって手首の「遠位橈尺関節」（図５）が緩んで尺骨が橈骨からズレます。
さらに上腕三頭筋の緊張によって肘の「腕尺関節」が緩んで尺骨がズレます。（図６）
肘の内側に位置する尺骨がズレる関係で、同部位に痛みが生じます。
痛みが主に出ているのは左肘ですが、尺骨がズレた影響で手首と肘の関節が緩んでいます。
そのため左肘だけでなく手首も同時に対処しないと確実に再発するので、手首と肘の両関節の緩みをとる施術を行いました。
また、骨盤の歪みや背骨のズレ、その他、股関節の動きが悪くなると、スイングの際に体幹の捻りが悪くなるため、手打ちになります。そして手打ちになると今度は確実に肘か手首を痛めます。
そうならないように、骨盤や背骨など全身の歪みやズレを矯正しました。
この方は遠方から来院され、そう何度も通えません。通わずに済むようにするには、自分で予防きるようにならないといけないので、当院では手首と肘の関節を安定させるための体操を指導しました。
初回の施術終了後、痛みを誘発する動作、拳を握り締め、手首を曲げて左肘を伸ばす動作では、殆ど痛みがないとおっしゃってました。
その後、Facebookのメッセンジャーでその後の状況を確認すると、時々痛くなることはあるが、前のような痛みはなく、ゴルフの練習の前と後に体操をやると、痛みや違和感がなくなる。今はこまめに体操をやって防いでいるようでした。
肘の問題はだいたい手首の問題と連動して生じます。
肘と手首の状況をしっかり見極め、両方処置しないとゴルフ肘にしろテニス肘にしろ、なかなか改善せず、再発を繰り返します。
また、手首も肘もよく動く上に複雑な構造をしているので、すぐに関節が緩んだり、ズレたりします。
この関節の緩みやズレを施術だけで防ぎ切ることはほぼ不可能なので、日頃の予防が施術以上に重要です。
逆にちゃんと予防できれば、施術の必要が無くなります。
当院ではゴルフ肘の予防になる体操などをネット上で公開しております。
肘や手首の痛みでお悩みの方は以下のページでテキストと動画で説明しておりますので、痛みの改善と緩和のために、お役立てください。
緩んだ手首を安定させる体操「手首の痛みの対処法」
ゴルフ肘に効果がある「超簡単！ゴルフ肘の対処法を紹介！-2」
ふじたカイロプラクティックは２０１６年６月開業の整体院。
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