噛み癖や姿勢で生じる顎関節症。

目次

顎関節症の原因。

口を開けたときに顎が鳴る。口を開けると顎がどちらかに寄る。

口を開けると顎が痛む。

このような顎関節症は、噛み合わせの問題が原因とされています。

たしかに事故や怪我で噛み合わせが変わったのであればそうかも知れませんが、そうでなければ噛み合わせが狂うのは結果であって原因ではありません。

実は顎関節症の原因で結構多いのが、食いしばりや、歯ぎしり、片方の顎ばかりで噛む片噛みなどの噛む癖や、頭を前に突き出した姿勢や頭がどちらかに傾いた姿勢などの姿勢の問題です。

癖や姿勢で緊張する閉口筋。

このような癖や姿勢によって口を閉じる筋肉の内側翼突筋・咬筋・側頭筋(図1)などの「閉口筋」が緊張すると、開口時に口を開ける筋肉の外側翼突筋や舌骨につく顎二腹筋・頤舌骨筋などの「開口筋」の運動を邪魔します。(図2)

図1.閉口筋
 
図2.開口筋

開口の顎の動きについて。

開口の初期段階では最初に閉口筋が緩んで、開口筋が収縮して下顎骨が下に引っ張れて回転運動が生じます。回転運動によって口が少し開きます。

さらに開口筋肉を収縮させると、下顎骨は下にかつ前に移動します。

同時に関節を保護する緩衝材として機能する軟骨「関節円板」も下顎骨の移動に合わせて動き、関節をぴったり適合させます。 このように開口運動の初期では顎関節内で「回転運動」が生じ、最大開口時では開口筋が収縮して関節突起と関節円板が前下方に移動する「並進運動」が生じます。この二つの運動によって「最大開口」することができます。

開口を邪魔する閉口筋の緊張。

しかし、閉口筋が緊張していると開口時の下顎の回転運動と並進運動が邪魔されます。

例えば右の閉口筋が緊張すると、開口時に左顎よりも右顎の回転が悪くなるので、口が開くと顎は右に寄ります。 右顎の並進運動は、閉口筋の抵抗に抗いながら下顎骨の関節突起と関節円板を前に移動させるので、右顎は右に寄りながら、徐々に前へ並進します。

最大開口に近ずくと、右下顎の関節突起は引っ掛かりが取れたように一気に前へ並進し、その後に関節円板が並進運動して、関節内に収まります。

この最大開口時に関節円板が関節突起に遅れて顎関節内に収まる時に「ゴリッ」という音が鳴ります。 この状態が長期化すると関節円板や関節を包む関節包を傷つけ、痛みが生じます。

癖と姿勢による顎関節症。

食いしばりや歯ぎしり。

食いしばりや歯軋りは閉口筋が慢性的に緊張して開口を邪魔し、さらに関節円板が慢性的に圧迫されて軟骨への血流が滞り、関節円板が劣化して音が鳴ったり痛みを発します。

片噛み。

片噛みになると噛んでいる側の閉口筋が緊張する傾向があり、そのせいで噛んでる側に顎が歪みます。

そのまま偏った顎の使い方で顎の筋肉のバランスが崩れ左右差が生じ、噛んでいない側の顎関節がガクガクと不安定になって、音が鳴ったり痛みを発します。

頭の位置や傾き。

頭が前に突き出た姿勢は、頭の位置が首より前になる事で首の筋肉への負担が増え、そのうち支えきれなくなると顎を食いしばり、噛む力を利用して頭を支えます。

その状態が続くと食いしばりになり、閉口筋が慢性的に緊張して関節円板を圧迫し、結果的に顎関節症のような症状が生じます。

頭が傾いた姿勢の多くは、傾いた側で噛む癖がつき、片噛みになり、さらに頭が傾いた側に舌骨も傾きます。

舌骨には多くの開口筋が付着しているので、舌骨が傾くと開口筋が下顎骨を引っ張り、傾いた側に下顎が寄ります。 舌骨を介して下顎が引っ張られて寄ると、噛んでない側の顎が引っ張られて顎関節が不安定になります。

次第に顎がガクガクし出して音が鳴ったり、痛みが生じます。 このような癖や姿勢は相乗効果で顎の歪みや噛み合わせの不具合などを悪化させます。

例えば、食いしばりや片噛みによって頭の傾きが生じたり、またその逆で頭の傾きから食いしばりや片噛みが生じ、結果的に顎関節症を発症させます。

なので、癖や姿勢が残っている限りいくら噛み合わせを直しても結果的に顎関節症を再発させます。

顎関節症でお悩みの方は、歯を削ったり盛ったりして噛み合わせを合わせるよりも、まず根本的に癖と姿勢を直してから噛み合わせることをお勧めします。

ふじたカイロプラクティックは2016年6月開業の整体院。

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藤田 和広

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