進化から見る人が太る理由。

今回は前の動画で紹介した本「人体600万年史上下巻」と「進化の傷あと」から「人が太る理由」を進化論的観点から説明します。

どちらの本も「人間は太りやすい」という結論は同じですが、ただ「なぜ太るのか?」という理由は全く異なります。

「人体600万年史」では「人類は飢餓に適応するため体は脂肪を溜め込むように出来ている。」という飢餓に対する適応しているので太りやすいと説明しています。

そもそも人類の歴史は長い間常に飢えとの戦いだったわけで、体は、飢えに耐えられるように、食物から得た燃料の糖を脂肪という固形燃料にして蓄えるように進化している。

しかし時代が狩猟採取民族から農耕民族になり、穀物が取れるようになると、農業生産技術と食品加工技術が向上する事で次第に太った人(一部の特権階級に限り)が増えます。

そして産業革命から工業技術の発達に伴い、昔は高級嗜好品とされていた砂糖が機械的に加工され爆発的に普及します。

機械技術は発展しましたが人間の体は狩猟採取民のままなので、砂糖のような高カロリー食が流れ込むと体はせっせと糖を脂肪に変えて蓄え、ブクブク太り出す。

飢えに対する体の適応という太りやすい体質と食品加工技術の向上という太りやすい環境の相乗効果で現代人は太りやすい。

以上が「人体600万年史」が説明する「人が太る」理由の大雑把な流れです。

一方、「進化の傷あと」では、人類はアシカやイルカなどの水棲哺乳類のように水辺での生活に適応した類人猿が人類に進化したという「アクア説」から人が太る理由を説明しています。

実際、人間は飼育された動物や野生の動物より少なくとも十倍の脂肪細胞を持っています。

霊長類では最も太っており、さらに人間並みの脂肪細胞を持つデブな哺乳類は冬眠するハリネズミと水棲生活のナガスグジラぐらいです。

よく太っている人を「ブタ」呼ばわりしますが、残念ながら脂肪細胞と蓄積量からみればブタより人間の方がずっと太っている。

おまけに生まれた時から脂肪だらけで生まれる霊長類は人間だけ。

基本的に陸生の哺乳類の脂肪は皮下脂肪があまりなく内臓周囲に蓄えられ、また人間のように四肢に脂肪はつかない。

丸々太った豚でも足はスリムです。

そもそも四肢に脂肪がついたら移動の邪魔となり、サバンナのような過酷な状況では、すなわち死を意味します。

こんな陸ではただのお荷物、いざという時の燃料のにしかならない脂肪だが、水の中では断熱剤と浮力として役立ちます。

つまり人間は水棲類人猿から進化しているので、陸生哺乳類の中でも圧倒的に脂肪が多く、脂肪を蓄えるのように出来ている。

これに飽食が重なれば太らないわけがない。

というのが、「進化の傷あと」で書かれている「人が太る」理由の簡単な説明です。

どちらにしても人は進化的に太りやすく、現代は太りやすい最高の環境が整っているから、放って置いたらどこまでも太るということがよくわかります。

ダイエットを考えている人がこの本を読めば絶望的な気分になるかもしれませんが、進化から体を知れば、やるべきことが見えてきます。

そう、カロリーを抑え栄養価の高いものを摂取し、体を動かす。

今の体にあった生活、狩猟採取民だった時に生活を近づけること。

残念ながらそれしかありません。

人が太りやすい理由の他、進化によって生じる体の不都合について詳しく知りたい方は、是非一度手にとって読んでみてください。

動画版「進化から見る人が太る理由」

 

藤田 和広

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藤田 和広

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