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乳癌のリスクを下げるウォーキングとエストロゲンの関係について詳しく解説します。
女性が閉経すると、生理から解放されますが、それと引き換えに骨粗鬆症や更年期障害などの問題が増えます。特に、乳癌のリスクは閉経後の女性にとって大きな問題です。閉経後の女性が乳癌になるリスクは年齢と共に増加し、閉経開始年齢が一年高くなるごとに乳癌のリスクは約3%増加するというデータがあります。※1
乳癌を防ぐ効果的な予防法として「ウォーキング」があります。ウォーキングは心臓血管病の予防やボケ防止だけでなく、乳癌の予防にも効果があります。
「レクリエーショナルな身体活動と余暇時の座位時間が閉経後の乳がんリスクに与える影響」※2について調べた論文では、ウォーキングが乳癌の予防になることを統計学的に証明しています。
この論文では73,615人を対象に、特定の行動「ウォーキングをする」「座りっぱなしの生活」「レクリエーション活動」が「乳がんのリスク」にどのように関係しているかを調査しました。その際に乳癌発生のリスク要因となるエストロゲン受容体(ER)の状態、BMI、体重増加、および更年期後のホルモン(PMH)の使用なども考慮した上で、ウォーキング、座りっぱなしの生活、レクリエーション活動が乳がんのリスクにどのように影響を与えるかを評価しました。その結果、これらのリスク要因とは関係なく、ウォーキングやレクリエーション活動が乳がんのリスクを下げることが示されました。
特に注目すべきは、ウォーキングを唯一のレクリエーション活動として報告した女性の中で、
週に7時間以上ウォーキングをすると乳がんのリスクが14%下がることが観察されました。著者たちは、週に7時間以上のウォーキングと関連するリスクの低下が公衆衛生上の関心事であると指摘しています。
ウォーキングが乳癌のリスクを下げるメカニズムについて解説します。ウォーキングや運動をすると、乳癌のリスクを減らすタンパク質が増え、体脂肪が減ることで乳癌の要因となるエストロゲンレベルが下がるのです。
この事について、アメリカ癌研究協会(American Association for Cancer Research)のジャーナルに掲載された「更年期後の女性における運動の血清エストロゲンへの影響:12ヶ月のランダム化臨床試験」の論文※3に詳しく書かれています。
この論文によれば、閉経後の女性173人を運動群と非運動群に分け、運動群には中等度の運動を45分間、週に5日行わせ、12か月後に運動をグループと非運動グループの乳がんのリスクを高める血清エストロゲンレベルを比較した。すると非運動群に比べ運動群では乳がんのリスクを上昇させる血液中の自由なエストロゲンやテストステロン(性ホルモン)と結合し、体内での活動を制限するセクスホルモン結合グロブリ(SHBG)のレベルが有意に増加し、逆にフリーテストステロンとフリーエストラジオールのレベルが有意に減少したものの、血清エストロゲンレベルはどちらも大きな差は見られなかった。しかし運動群の中で体脂肪2パーセント以上減らした人はエストロゲンレベルが有意に低下した。閉経後の女性では、エストロゲンは主に脂肪組織で生産されるため、体脂肪が減少することでエストロゲンの生産が減少し、その結果、血中のエストロゲンレベルが下がると考えられます。
つまり、運動をすることで乳がんのリスクを減らすたんぱく質のセクスホルモン結合グロブリ(SHBG)のレベルが増え、逆に乳がんのリスクとなるホルモン「フリーテストステロン」と「フリーエストラジオール」が低下し、体脂肪が2パーセント以上減らせれば、エストロゲンレベルも下げられるわけです。
サプリメントや健康食品よりもウォーキングの方が乳癌予防のほかに筋トレとダイエット効果にもなりますので、1日1時間程度ウォーキングを主観にしましょう。
ウォーキングをしたくても膝や腰が痛くてできない方は、カイロプラクティックで骨格の歪みを治しましょう。これらの情報を踏まえ、ウォーキングを日常生活に取り入れることで、乳癌のリスクを下げることが可能です。健康的な生活を送るために、ウォーキングを始めてみてはいかがでしょうか。
参照資料: