症例:ストレスからくる腰痛。

目次

患者さん情報と腰痛の経緯

腰痛を訴える30代後半・事務職の女性が腰痛を訴えて来院。

1ヶ月前から腰が痛く寝起きや体を前に倒した時に腰の上の方が痛む。(図1a)

図1

就寝中、寝返りを打つと背中から腰にかけて痛み目がさめる。そして寝起きが最も痛い。起きてしばらくすると動けるようになる。

体を30度ほど前に倒すと背中から腰にかけて張って痛むが、90度を過ぎると痛みがなく、倒せるようになる。

体をそらしたり左右捻ったり倒してもほとんど痛みはない。

腰痛になる前、左の背中(背骨と肩甲骨の間)がずっと痛かった。(図1b)

そのうち腰の方が痛くなって忘れていたが痛みは現在もあり、腰痛と同じく寝起きが痛む。

会社の近くにある行きつけの整体院で骨盤の歪みを取ると、翌日から楽になるが3〜4日すると寝起きに腰が痛くなり、1週間後には元に戻る。

治りが悪いので整形外科を受診し、レントゲンを撮ると腰に異常はないと言われる。

行きつけの美容院で腰が痛いことを話したところ、美容院の女将から当院を紹介されて来院。

姿勢の観察と検査。

立ち姿勢を観察すると、骨盤や肩が右に傾いた前傾姿勢で、横隔膜の辺りから背中が反り腰で、骨盤と右の大腿骨が左に回旋して捻れていました。図2

図2

背中の筋肉は左の腰から横隔膜の裏あたりの多裂筋と左肩甲骨付近の脊柱起立筋群(胸最長筋の胸部繊維)が強く緊張し(図3)、前面は左側の腹筋(主に外腹斜筋と内腹斜筋)が強く張っています。(図4)

図3
図4

前屈してもらうと30度〜50度の間で左腰背部の緊張と腰痛を訴え、背中と腰が突っ張って体を曲げられない。

それを超えて曲げると楽に体が曲げられ、痛みもない。

症状は痺れや筋力低下などの神経障害はなく、整形外科学検査で神経根圧迫の有無を確かめましたが異常なし。

腰痛の原因。

この患者さんは左の腹筋と横隔膜の裏あたりの多裂筋、左の肩甲骨付近の胸最長筋が強く張っています。このような筋肉の張りによって呼吸の際に生じる横隔膜と肋骨の動きが邪魔され、呼吸が浅くなる傾向があります。

患者さんの肋骨や横隔膜の動きを確かめると吸気の時に横隔膜と左下部肋骨の動きあまりなく、息が十分吸えている状態ではなかった。

呼吸が浅いことを患者さんに指摘すると、背中が痛み出す少し前から職場で人間関係のストレスで気がつくと息を止めていたり、歯を食いしばっていたことが多かったと話していました。

呼吸が浅くなると酸素を吸うために背中に付く肋骨を動かす多裂筋や胸最長筋などがが緊張して、結果的に左背中の張りが生じます。

この胸最長筋は胸椎から腰椎・骨盤まで広範囲にわたって付いている筋肉です。

この筋肉は長い筋繊維を介して緊張を腰椎や骨盤へ伝え、腰痛などを引き起こすことがよくあります。

この手の腰痛は腰の筋肉をほぐしても、整体院で骨盤の歪みをとっても、しばらくすると再発します。

前屈時に胸最長筋は体をだいたい30度〜50度倒した時に背中と腰が最も緊張します。

しかしそれを超えると腰が曲がり胸最長筋の背中と腰の連結が分断されて緊張が弱まり、体が曲げられるようになります。

もし腰に問題があれば、角度が深くなるほど腰への負荷が増すので、腰の張りが増して体を曲げられなくなります。

つまり前屈時の張りは腰痛は腰の問題ではなく、左胸部の胸最長筋の張りによるものです。

以上のことから患者さんの腰痛は腰が原因ではなく、ストレスで呼吸が浅くなったことによる左背中(胸最長筋)の張りが原因です。

呼吸が浅くなって腹式呼吸から胸式呼吸になると、主に左の腹筋や胸最長筋が緊張して左下部肋骨や左の背中が張ります。

その張りが長い筋繊維によって腰や骨盤に伝わり腰痛になりました。

背中の張りによる腰痛の施術。

初回:

腰痛の原因である会社の人間関係によるストレスは施術ではどうすることも出来ないので、まず動きが悪い左の胸椎や肋骨を矯正して動きをつけて楽に呼吸ができる環境を作り、腰痛を悪化させたり慢性化させる恐れのある腰椎のズレや骨盤の歪みを矯正しました。

次に強制的に肋骨を動かし呼吸を促す体操を指導しました。

この体操は呼吸を促進させて脳に酸素を送り、ストレスの耐性を強化することが目的です。

以上で初回の施術が終了。

2回目:

1週間後に来院したときは、呼吸が楽になり背中の痛みと寝起きの腰痛がほとんど無くなっていたそうです。

体を前に倒すと、まだ左腰の外側と左下部肋骨前面が少し痛みを訴えます。

姿勢は前回ほどではないが、腰から上がやや右に傾いていました。

それでも痛みは前回よりも和らぎ、普段はほとんど気にならないと申していました。

また呼吸が楽になったせいか、あまりイライラする事が無くなったと申しておりました。

2回目も前回同様の施術を行い、前回どうしても動かす事ができなかった上部腰椎のズレを矯正した。

施術後は最後まで残っていた右への体の傾きがなくなり、前屈時の痛みもやや張る程度に緩和されました。

今回の施術はこれで終了。忙しくてストレスが多い決算期を呼吸を促す体操で乗り切るように指導し、もし症状が痛みが増すか、気になるようならメッセンジャー質問するか予約するよう伝えて施術を終了。

2週間後に連絡があり、あれ以降、背中の張りは徐々に和らぎ、今は体を曲げても痛みはなく、職場でもほとんどイライラする事が無く楽になりましたと申していました。

院長からのコメント。

呼吸が浅くなることで生じる腰痛は、ストレスを抱えた座り仕事の方に多い腰痛です。

最初にストレスのせいで呼吸が浅くなったり、食いしばったりすることで背中や首の張りが生じ、しばらくしてギックリ腰の腰痛を発症させます。病院に行っても特に異状がなく、腰の張りを揉んでも歪んだ骨盤を矯正してもらってもあまり効果が長続きしない。

この場合、肋骨と胸椎に動きをつけて呼吸がしやすい環境を作らないと、なんども腰痛をぶり返しますが、呼吸を解放すると意外に早く改善します。

しかし呼吸が浅い状態が続くと、腰痛だけでなく脳や脊髄の静脈還流が悪くなるので、やる気の減退や集中力の低下やイライラなどのメンタル面に影響します。

脊髄の静脈は呼吸運動や背骨の動きによるポンプ作用によって循環されていますが、呼吸が浅く、座り仕事のように1日座りっぱなしで背骨の運動もないと、脳や脊髄への静脈循環が悪くなり、結果的にメンタルに影響します。

メンタルが不調になり、心療内科で診断名がついて薬を飲むようになったらカイロではどうにもなりません。

そうなる前にカイロプラクティックの施術で呼吸を解放しましょう。

ふじたカイロプラクティックは2016年6月開業の整体院。

院長は臨床経験16年。延5万人以上の実績!

マッサージや整骨院、病院では治りにくい腰痛や坐骨神経痛の他

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藤田 和広

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藤田 和広

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