階段を登ると痛む膝。

 長い自粛生活が祟って足腰が弱り、ひさびさに出かけた旅先で長い階段を登ったら、膝が痛みだした。階段に足を乗せて踏ん張ろうとすると、膝の皿の下辺りが痛み力が抜けて崩れそうになる。
この手の膝の痛みは、座りっぱなしの生活や歩かない生活が長引いたせいで足腰の筋力が弱る事が原因でよく生じます。そのような生活が続くと骨盤を支えるお尻の筋肉「大臀筋」や「中殿筋」(図1)や背中を反らす腰や背骨に着く俗に「インナーマッスル」(図2)と言われる筋肉、それと膝の前面につく「大腿四頭筋」(図3)が真っ先に弱くなります。
 骨盤を支えるお尻の筋肉が弱くなると骨盤が横にスライドして、お尻がどちらかに寄ります。
図1
その状態で歩くとお尻が寄っている側に大きく体が揺れ、体の揺れはそのまま膝への負担となります。
 「インナーマッスル」が弱くなると前傾姿勢になり、さらに体がどちらかに傾きます。前傾姿勢になれば普通に膝の負担は増え、さらに傾きが加われば、傾いた側の膝の負担は激増します。(図2)
図2
 大腿四頭筋(図3)は足を接地した時に膝に加わる地面からの衝撃を緩和する働きがあります。
図3
しかし歩行時の横揺れや前傾と傾いた姿勢によって鈍った大腿四頭筋への負担と衝撃は激増します。負担や衝撃が増すと大腿四頭筋は強く張り、膝の皿(膝蓋骨)を外側上方に引っ張り、膝蓋骨がズレます。その状態で歩いていると、膝蓋骨の下から脛骨に付着する膝蓋靭帯が歩くたびに脛骨の間で擦れて傷つけられます。(図4)
図4
その状態で階段を登ろうと踏みめば四頭筋に負荷が集中し、膝蓋骨と膝蓋靭帯がさらに上へと引っ張られ、引っ張られた靭帯が脛骨との間で擦れて痛みを発します。
 この時に膝の筋肉が弱っているからと言って四頭筋を鍛えると、逆に悪化させることが多いので、あまりお薦めしません。鍛えるのであれば歩行時の横揺れの元凶である「お尻の偏り」を防ぐためにお尻の筋肉を鍛えましょう。お尻の筋肉を鍛えるなら筋トレと骨盤の歪みを改善する効果がある「骨盤スクワット」が有効です。ただ、膝に熱や腫れがある状態ではやるのを控え、安静にしてください。

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