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猿と二足歩行の人間とでは歩行時に使われる筋肉が大きく異なり、それがお尻の筋肉である大・中・小の臀筋である。
猿の臀筋群は中臀筋と小臀筋はお尻ではなく人間だとハムストリング筋が付着する太ももにあり、歩いたり木に登ったりするために必要な推進力を発揮する。一方、人間の場合は文字通り骨盤を包むようにお尻に付着し、主に骨盤の安定させるために働く。
大臀筋は大腿を骨盤より後ろに反らして歩幅を稼ぎ、中殿筋 と小臀筋は歩行時の横揺れや縦揺れを防ぎつつ、骨盤を回旋させて歩幅を稼ぐために働く。
人間の臀筋は歩行時の姿勢を安定させ、消費エネルギーを抑え、運動の効率化に貢献する重要な筋肉である。だが臀筋の働きは歩行時の姿勢と重心の位置に依存するため、腰や背中が曲がったりお尻を突き出した「出っ尻」だったり、前傾姿勢で地面を爪先で蹴るように歩いたりすると、お尻の筋肉はほとんど働かず、代わりに大腿四頭筋やハムストリング筋といった大腿の筋肉が代行する。
これら太腿の筋肉は歩行時は主に体を前に進める推進力として働く筋肉なので、臀筋のように姿勢の安定させたり揺れを防いだり、歩行時の衝撃を吸収したり出来ない。それによる弊害は全て、腰や股関節や膝関節が被ることになり、結果的に腰痛や股関節痛や膝関節痛という形で現れる。
人間の骨盤や腰の形状の他、筋肉の変化(例えば猿の太ももの筋肉だった臀筋が二足歩行の人間で骨盤周囲に移動したように)などは二足歩行に適した形や並びに変化したものであり、腰や背中を曲げ、前傾姿勢歩いたり、出っ尻で歩くようには出来ていない。そのような限りなく類人猿に近い歩き方をすれば、二足歩行に適応した構造物が壊れる。
類人猿に近い歩き方で最初に影響が出るのが背中や腰、股関節周りの筋肉や負荷を分散して逃す股関節や骨盤を構成する仙腸関節、腰椎の椎間関節などの主に筋肉と関節だ。それが長期化すると本格的に骨や関節が変形してしまう。
そうなる前に関節の問題をカイロプラクティックで改善しつつ人間らしい歩き方を身につける事が、老後も人間らしく過ごすための備えになるだろう。