
3か月前くらいから手首が痛くて、ゴルフの練習の回数を減らしたんです。でもあまり良くならなくて…正直、ちょっと困ってます。

なるほど。どういう時に痛みが出ますか?何か特定の動きとかあります?

手首を反らしたときですね。あと、パソコン作業をしてるときにも痛くなります。ゴルフのスイングや筋トレのときも手首は使ってるんですけど、そっちはあまり痛くないんですよ。不思議なことに。一番つらいのはPC作業中ですね。

なるほどね。じゃあ、ゴルフとか筋トレみたいに力を入れて手首を反らしてるときはそんなに痛くないのに、脱力した状態で反らすと痛いわけですね。

そうですね。まあ、サポーターを着けてるおかげかもしれませんけど…。

元も子もない事ですが、実は手首を痛める一番の原因が他でもない「手首を反らす」ことなんですよ。
手首を反らすとなぜ痛むのか?
手首を反らすと痛みが生じる主な原因は、手首のアーチ構造である「手根管」が押し広げられ不安定になることで、その下を通る腱や神経、血管が圧迫されるためです。(図1)

加えて、手首の関節である橈尺関節(とうしゃくかんせつ)を構成する骨同士の連結がゆるみ、関節が不安定になることで、さらなる関節のこわばりや痛みや不快感などを引き起こします。(図2)


つまり、アーチ構造の変化と関節の不安定さが重なり、その状態が慢性化する事で痛みが生じます。
手根管のアーチが広がり手首が緩む
手根管は、古い石橋のようにアーチ構造を持っています。石橋は、上から荷重がかかることで石同士の結びつきがより密になり、全体の強度が増す特徴があります。同様に、手根管も複数の手根骨が連結することで形成されており、上からの圧力や圧縮方向の力には強く、構造として安定しています。(図3)

しかし、石橋のようなアーチ構造は、アーチが左右に拡がるような力、つまりアーチが緩む力が加わると、石と石の結びつきが緩み、全体の安定性が損なわれてしまいます。(図4)手首を反らす動きは、まさにこのような力がアーチにかかることで、石橋の要石的な骨である「月状骨(げつじょうこつ)」が手のひら側へズレてアーチが潰れます。(図5)


さらに、手首を反らすことで橈尺関節の隙間が徐々に広がり、関節が緩んで不安定になります。この状態で長時間にわたりパソコン作業や細かな手作業を続けると、手根管が潰れ、その下を通る腱・神経・血管が慢性的に圧迫され、結果として痛みやしびれが生じます。

つまり、手首を反らすことで手根管と関節が緩み、アーチ構造が崩れて神経や腱が圧迫され、痛みやしびれが生じます。
PC作業で悪化する理由
パソコン作業によって手首の状態が悪化するのは、次の3つの要因が関係しています。
- 脱力した状態で手首を反らしていること
- 指を酷使すること
- 橈尺関節への慢性的な負担
たとえば腕立て伏せのように、力を入れて手首を反らす動作では、筋肉が手首をしっかり支え、手根骨の結合を強める方向に作用します。
しかし、パソコン作業では手首を脱力したまま反らすことが多く、このような動作は手根管が緩む方向の力がかかり、手根骨の結びつきが徐々に弱まります。
そのような状態で、長時間にわたって指を動かし続けることで手根管内の内圧が高まることで手根管が緩む方向に力がかかり、さらにアーチが潰れます。
さらに、パソコン作業中は、手首をPCや机に乗せたままキーボードやマウスを操作することで、橈尺関節が慢性的に圧迫され続けます。パームレストを使用していれば圧迫が軽減されますが、そうでなければこの圧迫が持続することで関節が徐々に緩み、橈尺関節が広がって不安定になります。
このような状態が続くことで手根管は潰れ、関節も不安定になり、最初は手首のこわばりや違和感として現れ、やがて痛みへと進行していきます。

なるほど、ゴルフや筋トレの時は筋肉が支えてくれてたから、それほど痛くならなかったんですね。

そう。筋肉が“天然のサポーター”になってたわけです。もっとも、手首そのものを支える筋肉は存在しないので、実際には手首や指を動かす腱が代わりに支えていたことになります。そのまま続けていたら、いずれ腱鞘炎になっていたでしょうね。

じゃあ、やっぱりPC作業が原因ってことですか?そうなると、もう安静にするしかないんですか?

いえ、大丈夫です。ちゃんと防ぐ方法はありますよ。
反らすと痛む手首の痛みの対処法
手首の痛みは、手根管と橈尺関節の両方が緩んで不安定になることで起こります。これを改善するには、ズレた月状骨を元の位置に戻し、緩んだ橈尺関節を締めて安定させる必要があります。
以下のページでは、月状骨を正しい位置に戻す「月状骨矯正法」と、橈尺関節を安定させて手根管のアーチを回復させる「手根管締め付け体操」を、図解と動画で紹介しています。
まずは手根管の土台である橈尺関節を安定させるため、「手根管締め付け体操」から始めてください。その後に「月状骨矯正法」を行うのが効果的です。
※必ず方法と注意事項をよく読んでから実践してください。
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まとめ

ずっと、手首の使いすぎが原因だと思ってたんですけど…まさか“反らすこと”とPC作業だったとは思いませんでした。

先生:そうですよね。どうしてもゴルフとか筋トレみたいな、負荷の大きい動きを疑いたくなるものです。でも本当の原因って、意外と身近なところにあるんですよ。あまりに日常的すぎて、なかなか気づけないんです。

特に危ないのは、脱力した姿勢でのPC作業と、指の反復動作、それに手首への慢性的な圧迫…この3つが揃うことなんですね。とりあえず、パームレストを買って手首への圧迫を少しでも減らそうと思います。

それは良い判断です。あと、作業の合間にちゃんと休憩を取って、手首のケアもしてくださいね。そうしないと、手首だけじゃなくて腰にもきますから。

わかりました。教えてもらった体操、こまめにやるようにします。