親指の痛みの原因。
先週あたりから、親指の付け根のところが痛いんですよね…。特に瓶のフタを回したり、洗い物をしてるとズキッと痛みます。図1

患者さん


藤田先生
なるほど。普段から親指とか手首をかなり使うことはありますか?例えば洗い物のほかに、パソコン作業とか、パズドラやツムツムみたいなスマホゲームを長時間やったり、あとは大量のキャベツを千切りするとか…。
たぶん、1ヶ月前から今のパートを始めたのが原因だと思います。飲食店で働いてるんですけど、洗い物の量がすごくて。しかも重たいお皿が多いんです。それを掴んで洗ってると、親指がズキっと痛むんですよ。最近はスマホを触る時も痛くて…。

患者さん

藤田先生
親指を曲げたり反らしたり、どんな動作で特に痛みが強くなりますか?
特に、手をパッと広げたり、親指を反らしたりすると痛みます。

患者さん

藤田先生
なるほど、手を広げたり、洗い物でお皿をしっかり掴んだり、スマホ操作をしたりすると痛むわけですね。
お話を聞く限り、おそらく親指の使いすぎで、「舟状骨」という骨がズレてしまっていると思います。
お話を聞く限り、おそらく親指の使いすぎで、「舟状骨」という骨がズレてしまっていると思います。
骨がズレることがあるんですか?使いすぎで?

患者さん

藤田先生
そうなんですよ。この舟状骨っていうのは親指の付け根にある骨で、手首の関節を支える土台みたいな骨なんです。洗い物で重いお皿を掴んだり、瓶のフタを開けたり、スマホやパソコンで親指を細かく動かしたりすると、この骨が手のひら側にズレることがあるんですよ。
舟状骨がズレると、手首がぐらついて不安定になります。その結果、親指に余計な力が集中して、親指の付け根に痛みが出るんですね。図2

あ、そういえば最近、手首まで時々痛むようになってきました…。

患者さん

藤田先生
おそらく、すでに手首の関節がかなり不安定になっているんでしょうね。
この状態が長く続くと、親指を動かす「腱(けん)」と骨が擦れ合って炎症を起こし、腱鞘炎に発展することもよくあります。今、かなり手首に負担がかかっている状態だと思いますよ。
この状態が長く続くと、親指を動かす「腱(けん)」と骨が擦れ合って炎症を起こし、腱鞘炎に発展することもよくあります。今、かなり手首に負担がかかっている状態だと思いますよ。
どうしたらいいですか?

患者さん

藤田先生
親指の痛みの対処法をする前に、まず親指の土台となる手首の関節を安定させるための簡単な体操を紹介します。
お願いします。

患者さん
手首の安定化:手根管締め付け体操

藤田先生
この体操は、拳をぎゅっと握って台に置き、その上から真っ直ぐ体重をかけるだけのものです。以下の手順に従い、注意事項を守って行ってください。
- 痛い側の手で拳を強く握ります。
- その拳を台に垂直に置きます。
- 反対の手でその手首をしっかり支えます。
- そのまま真上からまっすぐ体重をかけます。
- 10~20秒そのままキープします。
【注意】
手首を反らしたり、ひねったりしないでください。図3


藤田先生
それでは、動画を見ながら実際にやってみましょう。
体操を始める前は、手首がすこし硬いなって思ってたんですけど、やってみたら少し楽になった感じがします。

患者さん
親指の痛みの対処法

藤田先生
手首の関節が安定したようなので、次は親指の痛みの対処法を説明します。

藤田先生
この体操はズレた舟状骨を正しい位置に戻す体操です。

藤田先生
舟状骨は手のひら側の親指と手首のしわの少し上あたり、母指球付近にあるので、舟状骨を中指と人差し指でしっかり押さえます。図4


藤田先生
舟状骨をしっかり押さえたら次は親指で手の甲側を抑えます。抑える場所は人差し指の付け根あたりをしっかり押さえます。図5


藤田先生
指でしっかり押さえたまま、今度は手首を少し反らします。図6


藤田先生
指を離さずに手を「ぐー」「パー」と閉じたり開いたりを10回繰り返しします。図7図8


骨を抑えて、手を閉じたり開いたりするだけでいいんですか?

患者さん

藤田先生
はい、ただ、以下の点を守り、正しい方法で行ってください。
- 1. 熱をもったり痛みが出たら、すぐに中止して冷やしましょう。
- 2. 舟状骨を指で抑えたらそのまま固定し、離さないようにしましょう。
- 3. 痛みや腫れがひどい場合は、氷水で20分冷却してください。
- 4. 指を開いたり閉じたりするときはゆっくりやること。
- 5. 一度にたくさんやらず、分けてこまめに行いましょう。
親指の痛みの対処法

藤田先生
それでは動画を見ながら試してみましょう。
本当に楽になった。手を広げても、親指を反らしてもほとんど痛みませんね。

患者さん
まとめ
親指が痛かったのは、ただの使いすぎだけじゃなくて、舟状骨がズレてた上に、手首まで不安定になってたからなんですね。

患者さん

藤田先生
そうなんです。だから、ズレた舟状骨だけじゃなくて、不安定になった手首の関節も一緒に整えてあげないと、腱や関節に余計な負担がかかって、腱鞘炎を発症しやすくなるんですよ。
飲食の仕事してると、腱鞘炎ってほんとに職業病みたいなもんですよね。私も先生に教えてもらった体操を続けて、ひどくならないように気をつけます。

患者さん

藤田先生
それは良い心がけです。ただ、その体操はあくまで対処法なので、根本から無理をしないことも大事です。症状が進んだり慢性化することもありますから、再発しないように、無理なく続けていきましょう。