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ポイントは体の揺れを抑える。
歩行は、片足立ちになる不安定な状態と、両足が地面に接して安定した状態を繰り返す運動で、安定した状態と不安定な状態を繰り返す事で左右の足を交互に繰り出し、前に進みます。
不安定な状態と安定した状態を繰り返している間、重心が移動するため、重心移動の軌道に合わせて体に上下の縦揺れと左右の横揺れが生じます。
この歩行時に生じる体の縦揺れと横揺れは、大きくなると疲労が増し、股関節や膝関節に加わる負担も大きくなります。
つまり「正しい歩き方」を習得するためには、体の縦揺れと横揺れを最小限に抑えることが必要条件になります。
揺れを抑えるための5つのポイント。
この歩行時に生じる体の縦揺れと横揺れを抑える上で気をつけるポイントは以下の5つです。
- 骨盤の回旋運動。
- 足関節の背屈と底屈。前側の足の踵が地面についた時は爪先を上げ(足関節背屈)、後ろ側の足の踵が地面から離れるときは爪先を下げる(足関節底屈)。
- 片足立ちになった時に膝関節をやや曲げる。
- 骨盤の傾き。
- 歩行中、右足の踵から左足の踵までの横幅(歩隔)は8〜10センチ以内。歩隔は広すぎても狭すぎてもダメ。
1.骨盤の回旋運動。
正しい歩き方の基本は歩幅を広くすることですが、歩幅を広くするにはそれだけ股関節を開かなくてはいけません。
しかし、体を捻り骨盤を回旋させると、股関節を開く角度はそのままの状態で歩幅を広くすることができます。
また、骨盤を回旋させて歩幅を広くした方が、股関節を開いて歩幅を広くする場合よりも体が下に沈まないので、体の縦揺れ(特に下方向への揺れ)を抑えることができます。
2.足関節の背屈と底屈。
足関節の背屈と底屈は歩行時に前側の足の踵が地面に接している時に、つま先を反らして踵が地面に接しやすくします。これを「背屈」といい、こうすることで前側の足が長くなり、歩幅を広くすることが出来ます。
一方、後ろ側の足の踵が地面から離れる時に爪先を下げて地面に接します。これを「底屈」といい、こうすることで後ろ側の足が長くなり歩幅を広くすることが出来ます。
前側と後側の足関節で背屈と底屈が生じることで、歩幅が広くなり、歩幅を広くしつつ、体が下方への揺れを抑えることが出来ます。
3.片足立ちになった時に膝関節をやや曲げる。
歩行中、片足で体を支える片足支持期になると、体が最も高い位置になり、体の縦揺れ(上方向へ揺れ)が大きくなります。
しかし、片足立ちの時に軸足側の膝関節が軽く曲がることで縦揺れが抑えられ、さらに片足支持期に膝へ加わる負荷を逃がすことが出来ます。
しかし片足支持期に前傾姿勢になると膝を曲げてバランスを取ることが出来ないので、歩幅が狭く、腰が曲がり膝が曲がる「年寄り臭い歩き方」になります。
4.骨盤の傾き。
片足支持期に下の図のように骨盤が上下に傾くことで、縦揺れ(上方向の揺れ)を抑えることが出来ます。
片足立ちになる側の骨盤が高くなり、逆側の骨盤は下がります。このように歩行中に仙骨を中心に骨盤がシーソーの用に上下することで、縦方向の揺れを抑えます。
しかし、前傾姿勢や歩幅が狭い歩き方だと、骨盤の傾きが制限され、縦揺れを抑えることが出来無くなります。その結果、股関節や膝関節へ加わる負担が増え、股関節痛や膝関節痛を引き起こします。
以上の1〜4番目は体の縦揺れを防ぐ上で気をつけることです。最後の5番目は体の横揺れを防ぐ上で気をつけることです。
5.歩隔は8〜10センチ以内。歩隔は広すぎても狭すぎてもダメ。
横方向の揺れに影響するのが、下の図のように右足の踵から左足の踵のまでの横方向の幅「歩隔」です。
この歩隔は適正な範囲である「8〜10センチ」以内であれば、歩行時のバランスを保ち横揺れを防ぎます。
しかし、歩隔が広くなると接触面積が広くなることで安定はしますが、運動効率が悪くなり疲労が増します。
また、歩隔が狭くてもバランスが悪くなって逆に運動効率が悪くなり、疲労が増します。
以上が歩行中に生じる縦揺れと横揺れを防ぐ上で気をつけるべくポイントです。
5つのポイントのまとめ
骨盤の回旋と前側の足関節の背屈と後ろ側の底屈が体の下方向の揺れを抑え、片足支持期の膝関節屈曲と骨盤の傾きが、上方向の揺れを抑え、結果的に体の縦揺れを抑えます。
そして、歩隔を適正な幅「8〜10センチ」で歩くことで体の横揺れを抑えることが出来ます。
揺れを抑えることで運動効率が良くなり、疲労や関節に加わる負担を抑えます。
しかし、これらのポイントを守る上での前提条件になるのが、
「後ろ足を長く地面に付け、前傾姿勢で小股で歩かない事です。」
特にヒールを履く女性に前傾姿勢で小股に歩く傾向が高いので、気をつけてください。
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