映画「変態だ」を鑑賞。

休診日の3月29日(水)は前々から観たいと思いながらも、なかなか行けずにいた映画「変態だ」観に行きました。

いとうせいこうとユースケサンタマリアが司会進行の番組「大人に」で昨年取り上げられ、映画の原作者である「みうらじゅん」さんと主演の「前野健太がゲストとして出演し、映画のプロモーションをやっていた。
そのカットシーンと制作秘話を聞き「これは観に行かなくてはならない!」と思い、以来封切られるのを心待ちにしていた。

それも、あれこれ日々のゴタゴタに追われていく中で忘れ去られ、封切られた昨年12月10日をとっくに過ぎ、先週たまたま思い出し、ネット調べたら、運よく地物横浜の「立ちんぼとチョンの間の街」から「アートの街」に生まれ変わった黄金町の「ジャック&ベティー」で公開していた。

「スワッ黄金町!」とばかりに上映時間も調べずに黄金町に向かい、ジャック&ベティーに着くと、その日はなんとレディースデー。映画館の階段を駆け上ると受付カウンターの周りは圧倒的な女子率で女性専用車のような状態。

この環境で「変態だは何時からですか?」と聞くのはとても勇気がいる。それは女性専用車で単身野郎が乗り込み萌えキャラフィギュアに頬づりをするのと同じくらい恥ずかしいこと。
おまけにカウンターには4歳からピアノとエレクトーンを習い、私立女子大の文学部卒みたいな如何にも清楚なお嬢様という感じのお姉ちゃんが立っている。

そのお姉さんに向かってボソボソ声で「変態だは何時からですか?」と尋ねると
「はい!?」と言われたので、今度ははっきり聞こえる大きな声で

「変態だ!は何時からですか?」と尋ねると

よく通る声でハキハキと「変態だ!ですね。変態だは20時からとなっていますので開演十分前の19時50分までに、こちら受付カウンター前に並んでお待ちください。」教えてもらった。

大勢の女性の前で「変態だ」と言うのも、見ず知らずの女性から「変態だ」と言われるのも初めてだった。なんだか新しい自分に出会えそうな気がした。

しかし、時計を見るとまだ17時半、映画開演までゆうに2時間半近くあり、「変態だ」を観に来たむさい男が女性の中にいるのも居心地が悪いので、早々に時間を潰しに辺りを徘徊。

黄金町は「チョンの間」がなくなったとは言え、1ブロックに2−3軒の密度で風俗店があり、立ちんぼの代わりに客引きのおっちゃんがウロウロいる。前この辺を通った時は昼間だから分からなかったが、夜になると昔とさほど変わらな胡散臭い雰囲気を出している。

声をかけて来る何人かの客引きのおっちゃんをやり過ごし、そのまま伊勢佐木町に出て関内方面に歩くと、前から気になっていた喫茶店「まめや」に立ち寄り、時間を潰す。

ここは店頭の写真からも分かる通り「豆」と「焙煎」にこだわった老舗の喫茶店。つまりコーヒーへのこだわりが強いと言うことだ。沸かしのコーヒーやパック詰のアイスコーヒーなど出さないし、20種類以上の即席フードをなんか出さない。禁煙席と喫煙席で分けても分煙なんてやらない。嫌なら帰れ!そんなこだわりがプンプンする。

案の定中に入ると前会計で禁煙席と喫煙席と別れていても禁煙席の真隣が喫煙席になっている。灰皿があるかないかで禁煙席と喫煙席を分けているだけ、嫌なら帰れと言わんばかりだ。

とりあえず前会計で「まめやブレンド」と「クッキー」を頼んで席でしばらく待つ。よりによってこんな時に限って本を忘れて来た。店内の印刷物やらコーヒーのウンチクを読んでいるうちにコーヒーとクッキーがやって来た。

もともと暇つぶしで入った店だし、自分はよくコーヒーを飲むが目的はカフェインの摂取にあり、味などどうでも良かった。だからあまり味など期待していなかったのだが、これが味音痴の私が飲んでもわかるほど、スッキリ飲みやすくて美味い珈琲だった。

どうやったらこんな味になるのか?豆選びから焙煎、そしてミルからお湯の注ぎ方までぜひ学ばせていただきたくなるほど美味かった。

普段ならクッキーを齧ってコーヒーで流し込むように飲んでいたのが、先に珈琲だけ飲んでしまった。

珈琲を飲み干し、クッキーもカスまで全部食べ、時間を見るとやっと18時になった辺り。仕方ないからコーヒーの淹れ方を参考にしようとカウンターでコーヒーを作っている兄ちゃんの動きをずっと観察していた。

19時まで粘ったがさすがにこれ以上居ると迷惑だと思い店を出る。そのまま伊勢佐木町の通りを黄金町方面に向けて歩くと、絶滅危惧種的なゲーセン「ピロピロ」がまだあった。

手作り感満載のポップに古臭い佇まい。置いてあるゲームは大型筐体や最新の課金ゲームなど「今流行り」はない。マルチ基盤のレトロゲームや80年台後半に出回っていた「脱衣ポーカー」など「レトロゲーマー」を狙ったラインナップ。

基本やるものがないから知ったゲームをプレーする。「スーパーストリートファイターX」とマルチ基盤のレトロゲーム「火撃」それとコナミの元祖横シュー「スクランブル」などプレーして時間を潰す。

しかし駄菓子屋やさいか屋の屋上でゲームをやっていた頃なら50円で1時間ぐらい遊べたのが、40も過ぎると3分も持たない。みるみる小銭がコインシューターへと消えていく。結局、「Book Off」で100円の古本を買ってベローチェで読んでいる方がはるかに安上がりだった。

なんだかんだで1時間近く粘って「ピロピロ」を後にし、ジャック&ベティーに行くと、2時間前とは大違い、レディースデーだというのに女性客はまばらで野郎率が急上昇。場外馬券城のようになっていた。

そこで待っていると受付のお姉ちゃんが「変態だ、のお客様。ただいまトラブルで前の上映が10分ほどずれ込んでおります。そのため変態だ、は20時10分から会場に入りしていただきます。会場入りは僅か5分で入れ替えとなりますので、変態だ、のチケットに書かれている整理番号順に奥で並んでお待ちください。そして順番に会場に入っていただき、席に着いていただいて、20時15分に上映となります。」とアナウンスがあった。
その後も、何かアナウンスがあるたびに「変態だ」を連呼される。「変態だ」と言われるたびに観客から「失笑」が起きる。こうして何度も丁寧に「変態」と呼ばれて、番号順に並んで、劇場に入り席に着いた。

映画の内容は「みうらじゅん」さんの妄想と趣味がてんこ盛りの内容。あらすじは下記に公式サイトのリンクをはっつけておきますので、そちらを確認してください。映画を観る前に何度も「変態」呼ばわりされるという体験は映画を観るよりも貴重な体験になると思います。

「変態だ」公式サイト。

追記:今から30年以上前、私の親父が黄金町のオールナイトの映画館で京急の始発が運行されるまで時間を潰していたら、爆音とともにいきなり映画館が停電になった。しばらくして停電から復旧し劇場内に電気がつくと、劇場の舞台、緞帳のあたりで白人の外人がケツを出して野糞をしていたという。明け方親父が帰って来ると、寝ている家族を起こして唾を飛ばしなが
「黄金町の映画館が停電になって、電気がついたら舞台の袖で外人が野糞をしてたんだ!」と狂ったように話していた。
それって、もしかしてここじゃないのか?

動画ではブログよりも映画の内容に突っ込んだ感想を述べています。よかったらこちらも観てください。

「変態だ」動画による紹介。

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