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こんな症状に悩んでいませんか?
パソコンやスマホを使っていると以下のような症状に襲われる事はありませんか?
- 首の痛みやこわばり
- 頭痛
- 吐き気やふらつき
- 視界のぶれや不安定感
- 耳の詰まり感や耳鳴り
- 飲み込みづらさ(嚥下障害)
このようなめまいに似た症状はスマホやパソコンを長時間操作し続けることによる首の問題で起こる “頚部起因性めまい” といわれる症状です。
頚部起因性めまいって?
「頚部起因性めまい」とは首の筋肉や関節の問題で生じる目眩で、耳の内耳や前庭神経が原因で起こる “回転性のめまい” とは異なり、ふわふわとした浮遊感や不安定感と言った症状が特徴です。
スマホによる頚部起因性めまいの原因は、スマホやパソコンの画面を覗き込んでいる時の頭を前に突き出した悪い姿勢「前方頭位」です。図1
zこの前方頭位が長期化すると、「後頭下筋群」と呼ばれる後頭部から首の付け根に付着している4つの筋肉(大後頭直筋、小後頭直筋、上頭斜筋、下頭斜筋)に5キロ近い頭の重量が集中し、慢性的に緊張した状態が続きます。
これらの筋肉は腕や足の筋肉とは異なり、頭を安定させる働きがあります。そのため頭の傾きや筋肉の緊張を監視するためのセンサーである「筋紡錘(きんぼうすい)」が多く存在し、筋肉の緊張度合いから頭の傾きなどを判断し、その情報を脳に伝えています。
その情報は視覚や平衡感覚の情報と共に脳で処理され、体の傾きや運動時の衝撃などに対応して頭を安定させたり、頭の揺れに応じて視界がぶれたりしないように、頭の位置や眼球をコントロールしています。例えるならば後頭下筋群の筋紡錘は、カメラや映像の揺れを検知して安定させるジンバルや光学手振れ補正のように、頭や眼球を制御する重要な情報を脳に送り続けています。
前方頭位がめまいを引き起こす理由
しかし、長期間にわたる前方頭位の姿勢が続くと、後頭下筋群は緊張し筋紡錘の感度が狂い、正確な情報が脳に伝わらなくなります。脳は誤った情報を基に頭や眼球の運動を制御するせいで頭の位置が傾いたり、眼球が頭の傾きや動きの影響を受ける事で視界がぶれたりし、結果的に視界のブレによるふらつきや、乗り物酔いの様なフワフワした頚部起因性めまいが生じます。
頚部起因性めまいの予防法
このめまいを防ぐには、何はともあれスマホを使う時間を意識的に減らすこと。それが出来ないのであれば、人間の体は長時間同じ姿勢を保つようには設計されてないので、こまめに休憩を取ること。そしてスマホを使っているときは、前方頭位にならないように首の上に頭が乗り、耳の穴と肩の中点が一直線上に並ぶように姿勢を正すこと。
また、巻き肩になると猫背のように背中が丸まり、背中が丸まると頭が前に出て前方頭位になります。この巻き肩を引き起こす元凶が胸から腕にかけて付着する「小胸筋」という筋肉で、これが緊張すると肩甲骨を前に引っ張って巻き肩になります。なので対処法はこの小胸筋を伸ばすこと。
小胸筋を伸ばすには、ぶら下がり運動やヨガの猫のポーズといったストレッチが効果的です。
また、当院でも推奨している「小胸筋ストレッチ」を試してみるのもおすすめです。小胸筋ストレッチは下にリンクを貼りつけておくので、やってみてください。
頚部起因性めまいでやってはいけないこと
腰痛でも肩こりでもそうですが、症状を悪化させる人に限ってやるべきことはやらず、やっちゃいけない事をやって悪化させます。そのやってはいけない事の代表格が「マッサージ」。
首の付け根が硬く緊張しているからほぐしたくなるのは分かりますが、先に説明した通り後頭下筋群は筋紡錘という高精度なセンサーが密集した筋肉です。それをぐいぐい押したり、マッサージガンで強い振動を加えれば結果は日を見るより明らか。筋紡錘が過剰に反応して誤った情報を脳に送ることがあります。その結果、めまいが悪化するだけでなく、最悪の場合、首の関節がズレたり、炎症を引き起こすこともあります。この部位はプロでも失敗する場合もある非常にセンシティブな部位です。素人の判断で闇雲にいじくりまわすのは非常に危険です。
まとめ
長時間のスマホ利用がもたらす前方頭位のような悪い姿勢は、首に大きな負担をかけ、結果として頚部起因性めまいや、ふらつきといった症状を引き起こします。スマホはとても便利なものですが、便利さを追求した結果自分の体がポンコツになって、不自由になってしまっては本末転倒。スマホ利用もほどほどに。