読書:「交渉術」

目次

外交やインテリジェンスの世界では、すべてが結果責任だ。結果から見るならば、私は大失敗をしでかした官僚である。それも仕事に失敗して左遷されるとか、クビになるというレベルではなく、「鬼の特捜」(東京地方検察庁特別捜査部)に逮捕され、起訴され、「小菅ヒルズ」(東京拘置所)の独房に五百二十日間暮らすという結果をもたらした。まず、「佐藤優のようにならないためには、どうすればよいか」という観点から本書を読んでほしい。

佐藤優 著  「交渉術」あとがきより。

元外務省の主任分析官の佐藤優さんが、タフな外交交渉で有利に運ぶためのノウハウが余すところなく紹介された本でもあり、、冒頭でも紹介したようにこの本は佐藤さんが交渉の失敗について綴った本でもある。

交渉術 (文春文庫)

交渉のノウハウを記したハウツー本としてではなく、「佐藤優のようにならないためにはどうすれば良いか」という観点からこの本を読むと、日本の官僚やジリジリ衰退しつつある大企業の体質が浮き彫りになり、さらに組織の中で生き残るためには何をすべきが?ということがよく分かる。

まず私なりに解釈した交渉とは大きく分けると2つあり、それは「内向きの交渉」「外向きの交渉」に分けられる。

「内向きの交渉」とは基本的に個人や個人の集まりである組織の保身を前提とした、組織や企業の論理で行われる交渉ゲーム。

一方、「外向きの交渉」とは個人や組織の論理の外にある顧客や国益のための交渉ゲーム。

「佐藤優のようにならないために」という観点からこの本を読むと、「外向きの交渉」に専念し国益を重視するあまり「内向きの交渉」を疎かにしたことが原因で、佐藤優さんはジャンヌダルクよろしく自分が属する組織の手によって敵(鬼の特捜)へと引き渡された。

交渉が大きくなれば大きくなるほど、ステークホルダーが増えるほど「外向きの交渉」と「内向きの交渉」のバランスが重要になる。利害というのは外と内では必ずしも一致しているわけじゃない。国益の増進が組織の論理と一致しなくなった時、組織から締め出しをくらうことになる。

ここでは組織の中で生きてゆくための「内向きの交渉」だけに焦点を絞って紹介する。「外向きの交渉」については本書をよく読んで学んで欲しい。

「恥を棄てる」サバイバルの極意。

官僚化した組織では基本的に評価が減点法になる。そうなると、いかにミスをしないか、いかに責任を逃れるかが保身と出世の基準になる。

そのような「内向き」の組織で生き残るための「交渉術」を西村六善欧亜局長という「内向き交渉術マスター」を例に紹介している。

弱者の最大の武器。「死んだふり」

国会議員である鈴木宗男氏に対して嘘の報告を行った西村氏がその嘘が露呈し窮地に立たされた。その時、この西村氏は目を潤ませて「これが嘘をつく男の目に見えますか?」と誠実戦法に打って出た。

しかし鈴木氏はきっぱり「これは嘘つきの目だ。」と正直に西村氏に伝えると彼は、「ウ〜」といううめき声とともに、北海道開発局庁の絨毯の上でアルマジロのように体を丸めて横たわってしまった。

大の大人が嘘が露呈し窮地に立たされると死んだふりを決め込んだのだ。

予想外の出来事に周囲は慌て、鈴木氏も「今日は本当にありがとう。よくやってくれた。もう帰っていいよ」と送り出してしまう。

国会議員と較べ、官僚は弱い立場にいる。このアルマジロのように丸まった「死んだふり」こそが、窮地に陥った弱者にとって最大の武器なのである。弱者の恫喝といってもいい。

読者も本当に追い詰められて、他に手段がなくなった時には、「死んだふり」をしてみるといい。一般論として、人間は規格外の反応に直面すると判断が鈍る。

組織の中で自我や信念を保つ強さを維持できる人間はそうそういない。ほとんどが組織の論理に流されない限り生きてはいけない。
弱者は一部の強者しか手にすることができない強さを身につけるために努力をするよりは、弱さをとことん利用し武器にした方が遥かに効果がある。その極みと言えるのが「恥を棄てる」ことである。

減点主義の組織では恥知らずが出世する。

人は保身に走ると少しでも自分にリスクが降りかかることを恐れるせいか、何事も減点主義で物事を評価する傾向がある。

そんな減点方でしか評価しない会社のために体を壊したり、死んだりするのはもったいない。

それなら会社は給料という名のベーシックインカムを払ってくれるも役所と割り切り、保身のためになりふり構わず振舞うことだ。

このような恥知らずで、「死んだふり」をするような、恐ろしい人物には、重要な仕事を頼まない。重要な仕事を与えられないのだから、否定的な評価をされることもない。また、規格外の反応をする可能性があるので、譴責されることもない。組織文化が減点主義の場合、恥知らずで死んだふりをする人物は確実に出世する。

責任を自分から逃れると人事評価がマイナスになる。しかし端から「重要かつ責任が伴う仕事をこいつに任せることができない。」という仕組みさえ作ってしまえば、責任から逃れたことにはならない。

責任を逃れることができる仕組みを作れば、自分でできる楽な仕事をただこなしていれば、必然的にミスはない。

さらに優秀な部下や派遣社員などが手元にいれば、全部そちらに丸投げすれば済む。そして手柄は自分のものにし、責任は相手になすりつける。これが派遣ぐい喰いの構図だろう。

結果的に限界はあるものの出世することになる。

西村氏のインテリジェンス能力は極めて高い。鈴木宗男疑惑で窮地に陥っても、それを逆手に取り、自らを鈴木氏の被害者であると演出することに成功した。それから、総務課長を経験した西村氏は、外務省の裏事情についても熟知している。また報道課長を務めた時代には、週刊誌関係との人脈構築にも西村氏は腐心した。西村氏を野に放てば、どのような反撃がなされるかわからないと外務省執行部は考えたのであろう。

責任を逃れるための仕組みだけでなく、常に保身のためだけの情報網を組織の内外に築くことで保険をかける。

とはいえ、これらが通用し、馘にならずに済むのは、馘を切ることが制度的にできない大企業や官僚に限る。だから就活生は何が何でも省庁や大企業入社することだけに全力を尽くし、その後は「内向き交渉術マスター西村氏」のノウハウをフル活用すると良いだろう。

大企業に入って激務やストレスで自殺するくらいなら、責任を逃れるための仕組みづくりに腐心し、情報網と人脈を構築し、そして自分の弱さを知ってそれを武器に生かして強かに生きていけば良い。

余裕ができたら佐藤さんが実践していた「外向きの交渉術」を学べばまさに鬼に金棒。最強のビジネスパーソンになるだろう。

「内向きの交渉術」について「交渉術」と合わせて読むとより理解が深まるのが「厚黒学」。腹黒く厚かまし人間になるための逆説的成功哲学。一読することをお勧めします。

厚黒学―厚かましくかつ腹黒く生きよ

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