読書:「歴史とは何か」

症状の原因や施術の内容を患者さんに説明するには、触診という極めて主観的な事実だけで診断し、その問題の関節を矯正するだけでは、とても客観性のある説明にならない。

客観的な事実は共有することができ、それを基礎においているからこそ説明は成り立ちますが、「私にしかわからない」主観的な感覚に基づく事実は共有することができない。

感じたことをそのまま述べたところで感想であって説明にはならない。

主観に陥りがちな整体やカイロプラクティックの施術に客観性をもたせるための方法を色々調べ、たどり着いた結論が「科学的手法」をカイロプラクティックに取り入れる事だった。

「科学的手法」とは、客観的な事実に基づいて仮説を立て、実験で仮説を検証し、客観性のある確かな知識を導くことです。

しかし、カイロプラクティックの診断は、いかに客観的な事実を集めても、それらの客観的事実の解釈は施術者の主観に依存するため、物理学や化学のようにある前提から結論を演繹する厳密な方法を適用させることができない。

結局、自然科学の手法をカイロの診断に用いると客観的事実の羅列になっるだけで診断にも説明にもならない。

そこで科学的手法を自然科学で探すのはやめ、主観と客観の扱いが非常に難しく、いつも解釈の違いで揉める「歴史」を参考にしようと思い、E.Hカー著「歴史とは何か」を読んでいる。

歴史とは何か (岩波新書)

本書の中で歴史とは何かという定義をカーは次のように説明しています。

歴史とは、歴史上の事実を明らかにし、これを解釈の過程を通して征服する歴史家の心の主観的産物であると考える

歴史は客観的な事実を集めはするが、その選ぶ基準も解釈も主観に依存する。まさにカイロと同じ!

歴史が知識を導き出すための科学的手法は、客観的事実によって演繹的に法則や原理を導き出す自然科学とは異なる。

歴史の場合は自然科学のようにまた数学の問題のように「いかに導くか」ではなく、客観的事実と主観的な解釈を「いかに繋げるか」にかかっている。

とはいえ、客観的事実を無視すれば独断になり、主観を排し事実だけを並べても知識ではなく、ただの情報になる。

いかに客観的事実と主観を繋げ、妥当で蓋然性の高いストーリーを作り上げるかが歴史家の腕の見せどころになる。

歴史はこの主観と客観を繋げるプロセスに科学的手法を用い、客観性の担保としている。

では歴史家はどのようにして客観的事実と主観的解釈を繋げているのか?

その方法をカーは分かりやすく次のように述べている。

人間の精神は、観察された「事実」をつめこんだ頭陀袋をかきまわしながら、そこから、観察された「有意味」な事実というものを選び出し、繋ぎ合わせ、一つの型に作り上げ、他方、「無意味」なものを捨てて行って、最後に「知識」という論理的で合理的な編み物を編み上げる。主観主義の度が過ぎるという危険な点を少し割引すれば、私も、これは歴史家の精神の働き方を書いたものと認めたいと思います。

いくら客観的と言っても結局、主観的解釈に基づいて客観的事実を選び、分類しているに過ぎない。

だから歴史家は客観的事実を選び取る過程とそれらを繋げる過程に「科学的手法」を用いる。

科学的手法は客観と主観の関連を厳密に検証し、歴史家が主観主義に陥るのを防いでいる。

こうして公平で客観性のある「知識」という論理的で合理的なストーリが編み上がる。

カイロの診断では、問診や観察から得た客観的な事実と触診から得た感覚的な事実とを関連づける際に科学的手法を用いる。

集めた客観的な事実を検査などで検証して、より客観的になものにして根拠付ける。

そしてに触診から得られた主観的事実と根拠との間に矛盾が生じないように関連付けて繋げ、「診断」というストーリーを編み上げる。

とはいえ、この診断は事実というよりは、事実に根ざしたストーリー程度のものでしかないが、大切なのは客観的であることよりも客観的であろうとする姿勢なのだ。

触診という主観だけに頼らず、客観的な事実で主観を理論付けする癖をつけると、施術がうまくいかなかった時に事実に沿って検証できるので、対策が立てやすい。

事実ベースなので、経験と知識の積み重ねることで、診断制度も施術の改善率も少しずつではあるが日々確実に成長する。

特にスキルアップというよりは不安解消の手段として、あれこれセミナーに参加する必要がなくなった。過去を振り返ればそこにヒントがあるからだ。

何よりも、患者さんに説明する時の説得力が全然違う。

カイロや整体と言った手技療法に従事している人は、「関係ない」とは言わずに、是非、この本を読んで主観と客観的事実の繋げる方法を診断や患者さんへの説明、さらには施術のレベルアップに生かしてほしい。

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