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５０肩の違い。
今まで数多く診てきた「５０肩」を勝手に大きく２つに分け、勝手に命名するなら、痛みが強く非常に治りが悪い「厄介な５０肩」と、痛みも軽く比較的治るのも早い「軽い５０肩」の２種類に分かれます。
「厄介な５０肩」は肩甲上腕関節（図１）内にある筋肉や筋膜などの軟部組織が癒着したり、酷くなると腱に石灰が沈着して肩が全く動かせなくなります。
痛みも強烈で、ちょっとでも肩を動かそうものなら吐き気を催すほどの激痛が走ります。
関節内の組織が損傷されているので治りも悪く、「何もしなくても痛む」から「動かすと痛む」レベルにまで改善するのにだいたい１−２ヶ月近くかかり、肩が動かせるようになるには半年から酷いものだと1年近くかかります。
一方、「軽い50肩」は「厄介な50肩」のように肩甲上腕関節内に癒着や損傷がないので、痛みも比較的軽く、ちゃんと処置をすれば１ヶ月もかからずに動かせるようになります。
また、放っておいても、だいたいの１−２ヶ月で自然に治癒します。
「軽い５０肩の原因とメカニズム」
「軽い５０肩」は、主に猫背や肘をつくなどの悪い姿勢や、重いカバンの片がけなどの偏った生活習慣によって肩鎖関節や胸鎖関節が圧迫され、鎖骨の動きが悪くなることによって生じます。
鎖骨の運動は肩の運動の「量」には殆ど貢献しませんが、その代わり肩関節運動の「質」の向上に貢献します。
例えば肩を真横から頭上まで挙げる「肩外転運動」では、肩甲上腕関節で120°、肩甲胸郭関運動で60°、計180°動かせます。
この間、鎖骨は肩甲骨を正しい軌道へ誘導して上腕骨と肩甲骨がぶつかるのを防ぎ、さらに上腕骨と肩甲骨の間にある筋肉や腱などの軟部組織がこれらの骨に圧迫されるのを防いでいます。
このおかげで肩関節をスムーズに外転させることができます。
つまり鎖骨は、肩関節の運動を円滑にし、肩甲上腕関節や肩甲胸郭関節の運動を助けるナビゲイターとして機能しています。
この肩鎖関節や胸鎖関節が圧迫されてズレると鎖骨の動きが悪くなり、肩関節の円滑な運動が失われ、肩を動かす度に肩鎖関節からゴリゴリ音が鳴るようになります。
さらにその状態で使い続けると関節をまたぐ筋肉が骨と擦れて傷つき、張りや痛みを発します。
微細な損傷が時間とともに蓄積され、ある日、急に痛みとともに肩が動かせなくなる「軽い五十肩」になります。
厄介な５０肩は軽い５０肩の成れの果て。
「軽い50肩」は関節への圧迫を防ぎ、肩鎖関節や胸鎖関節のズレを改善しないと、痛みが消えても、肩が動かせるようになっても、治った事にはなりません。
肩関節の可動範囲は以前よりも狭くなり、関節運動の円滑さは失われ、だいたいしばらくすると再発します。
再発と治癒を繰り返していると次第に鎖骨がほとんど動かなくなります。すると肩関節運動の「量」を担う肩甲上腕関節に負担が集中し、時間をかけて関節内の軟部組織が傷けられて「厄介な50肩」になります。
つまり悪い姿勢や生活習慣で圧迫された肩鎖関節や胸鎖関節の成れの果てが「軽い50肩」で「軽い50肩」の成れの果てが「厄介な50肩」になります。
「厄介」だろうが「軽るい」だろうが50肩は50肩なので、ぎっくり腰や肘の痛みなどよりも改善までに時間がかかる「厄介」な症状です。
そうならないために、動きが悪くなった肩鎖関節に動きをつけ、「軽い50肩」に効果がある体操を紹介します。
現在50肩の人は対処法として、予備軍の方は予防法として、ぜひ、お役立てください。
対処法で肩鎖関節に動きをつつ、当院で骨盤や背骨の歪みを取るとより回復が早まりますので、50肩でお困りの方は是非ご一度、当院にお越しください。
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