メンタルヘルスと背骨の健康。

背骨の動きは脳や脊髄の循環や冷却効果に大きく影響している。そのため、背骨の歪みなどで動きが制限された患者さんには腰痛や肩こりの他に、頭痛や集中力ややる気の低下と言った問題を抱えている方が多く、歪んだ背骨を矯正すると「ボーッとして霞がかかったようだった頭が突然晴れたようにスッキリした」と患者さんから喜ばれることが度々ある。

背骨の運動には脳や脊髄の静脈循環と冷却をサポートする働きがあり、背骨の動きが悪くなる事で老廃物や熱の影響で頭痛や集中力の低下などの脳の機能的な問題が生じる。その状況が長期化すれば最悪は抑鬱やパニックなどになる人もいる。

パソコンのCPUが発達と共に、消費電力熱が増加したように、人類の脳も発達と共にカロリー(電力)の消費と熱が爆上がりした。爆上がりしたカロリー消費を賄うためのインフラとして発達したのが脳の隅々まで張り巡らされた動脈で、排熱装置として脊髄を網の目状に包み、ラジエーターの冷却パイプのよう機能する「脊髄静脈叢」である。(図1)

図1)ネッター医学図譜 脳・神経系I 構造と機能より抜粋。

この脊髄静脈叢には逆流防止の「弁」がほとんど無いので圧力が低いと逆流し、足の浮腫のように血流が滞り気味になる。この滞りがちな血液循環を支え、脊髄や脳の冷却を促しているのが背骨の動きや呼吸による肋骨の動きである。

この背骨や肋骨の動きが悪くなると、脳と脊髄の静脈血が滞り気味になり、脳や脊髄の水冷効果が悪くなる。するとパソコンのCPUと同様、脳も温度が上がり処理がもっさりと重くなる。長く使っているとそのうちフリーズ(鬱)や熱暴走(パニック)、強制終了(バーンアウト)などを引き起こす。

ほとんど体を動かさずに同じ姿勢で何時間もパソコンに齧り付いて作業するデスクワーカーは背中を丸めた状態で背骨が歪み、ほとんど無いほとんど動きがない。これでは脳の静脈循環と冷却が殆ど機能しないから、そのうち鬱になったり燃え尽き症候群になるのも無理もない。この脊髄静脈叢はアウストラロピテクス・アフリカヌスから現生人類の系統で発達しており、それよ古いアウストラロピテクス・アファレンシス(ルーシー)などや類人猿にはない。つまり脳の膨張と共に生じた排熱装置であるため、これが機能しなくなるということは脳の退化を意味する。脳の退化を防ぐためにも背骨の健康は重要である。

リモートワークで鬱になる人が増えているというが、そのような精神的な問題の根底には背骨の問題が関係している人も多くいると考えられる。心療内科や精神科に駆け込む前にまず一度、試しに背骨の歪みを矯正してみることをお勧めします。

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