現代病の「スマホ首」

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肩こりや首の痛みの原因「スマホ首」

電話からネット検索、写真や動画の撮影/編集などパソコン並みの性能を持ち、さらに財布の代わりになって買い物もできる。

それらが全て手のひらサイズに集約され、その利便性と高機能から世界中で普及している文明の利器「スマホ」。

そのお陰で生活はますます便利になったが、一方で健康面の問題も多く取り沙汰されている。

その一つがスマホの使い過ぎや、画面を覗き込む姿勢が原因で肩こりや首の痛みが生じる「スマホ首」。

この「スマホ首」なる新たな肩こりが有名な科学雑誌「ニュートン」3月号「人体の取扱説明書」で大々的に取り上げられていました。

ニュートンで取り上げられた「スマホ首」

記事の内容を簡単に説明すると、5〜6キロほどある人間の頭を支えているのが首の骨である頸椎。

頭が頚椎の上にあれば、頸椎は重たい頭を難なく支えることができますが、頭が前に傾けば傾くほど頭を支える頸椎や筋肉に加わる負荷が増えます。

例えば頭を15度頭が前に傾くと頸椎には12キログラムに相当する負荷がかかり、これが60度になると、なんと27キログラム(頭の重さの約五倍の重量)に相当する負荷がかかります。

60度傾いた場合ちょうどスマホ画面を覗き込む「スマホ首」とほぼ同じ状態。

つまり「スマホ首」は頭の重さの約五倍の負荷が頸椎や頭や首を支える僧帽筋に加わります。

さらに「スマホ首」の状態が長期化すれば、頸椎が変形して頚椎の彎曲「前彎」が失われ「ストレートネック」になります。

ストレートネックになると肩こりや首の痛みだけでなく、噛み合わせや食べ物が飲み込み辛くなる嚥下の問題などなど、首に関わる様々な問題が引き起こされます。

ざっくり言うと、このように書かれていました。

人体の設計仕様から逸脱したスマホ首。

頭が大きく前に傾くことで頸椎や頭を支える筋肉に加わる負荷が激増し、結果的に厄介な肩こりや首の痛みやストレートネックになることを「スマホ首」と言います。

人間は直立二足歩行の関係上、頭が体や頸椎に対して垂直方向に位置しています。

一方、スマホ首になると頭は大きく前に傾き、体や頚椎に対して水平方向に頭が位置します。

これでは豚や羊などの四つ足動物と同じラインに頭が並びます。

しかし人間は四つ足動物と違い、水平方向で頭を支えられるほど強靭な構造はしていません。

例えば四つ足動物は、人間とは比べ物にならぬほど強靭な筋肉で頭を支えています。

その強靭な筋肉が付着するための骨(胸椎の棘突起)が人間とは比べ物にならないほど長く大きくて強靭な構造をしています。

さらに、人間にも四つ足動物にも項(うなじ)に沿って「項(こう)靭帯」という靭帯があります。

四つ足動物の「項靭帯」は重い頭を水平方向で支える事が出来るように弾力があり、さらに人間より遥かに強靭な靭帯構造をしています。

しかし人間の場合は弾力性に富んではいても、華奢な作りで重たい頭を水平位で支えられるほど強靭ではありません。

つまり筋肉や胸椎の棘突起や項靭帯を人間と四つ足動物で比べると、人間の場合は垂直方向に頭が位置する姿勢に最適化された設計仕様になっており「スマホ首」のような水平方向で頭を支えられるほど強くありません。

人体の仕様に四つ足動物の仕様を適応させようとすれば当然、筋肉の強い張りや「ストレートネック」など、様々な障害が生じます。

未来人の首はスマホ首?

人間の仕様に適さない「スマホ首」ですが、それが常態化すると、徐々にスマホ首に最適化されてしまいます。

何年か前に雑誌の特集で数百年後の人類の姿が描かれていましたが、そこに描かれていたのは頚椎の彎曲がなくなり頭を項垂れた「スマホ首」に適応した人類の姿でした。

そうなるとスマホ首は進化?の先取りということになります。

そうならないためにニュートンの「スマホ首」の記事では予防法の体操が2種類紹介されていました。

しかしたまにやるストレッチなど、ぶっ通しで維持される姿勢に対して結局は焼け石に水。

本気で防ぎたければ姿勢に気をつけ、常に努力と注意を怠らずにそれを継続するしかありませんが、これがまたとてつもなく大変です。

施術者としては人間の努力に期待したいところですが、とは言え人間は怠惰ゆえ自身の体は退化させ、道具の進化によって進歩?してきた動物。

努力をあてにして「スマホ首」を防ぐよりは首を曲げなくてもスマホを操作できる文明の利器の開発に期待した方が手っ取り早く確実でしょう。

残念ながらスマホは産業革命の機械の発明と同じぐらいドメスティックに生活習慣と社会構造を変えた道具です。

この流れは防ぐことはできず、そのスマホ文化の副産物である「スマホ首」も同様に便利さの代償として受け入れざる得ない現代病だと諦めています。

「スマホ首」を防ぐ道具か、または今のスマホに変わる新しく優れた道具が発明されるまでの間、施術と体操でなんとか防ぎ、もたせるしかないのでしょう。

Posted from SLPRO X for iPhone.

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